問註所統景

問註所統景：筑後を護った孤高の武将

問註所統景（もんぢゅうじょ むねかげ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。筑後国（現在の福岡県南部）の長岩城を拠点とする問註所氏は、筑後十五城の一つとして知られています。

大友家への忠義

統景は初め、豊後国（現在の大分県）の大友氏に仕え、大友義統から偏諱を賜り「統景」と名乗りました。しかし、天正6年（1578年）の耳川の戦いで大友氏が大敗を喫すると、筑後における勢力図は大きく変動します。肥前国（現在の佐賀県、長崎県）の龍造寺氏が台頭し、多くの勢力が龍造寺氏へと鞍替えする中、統景は五条鎮定と共に大友氏への忠義を貫き、筑前国（現在の福岡県北西部）の秋月氏らの動きを警戒しました。

長岩城の死守

龍造寺氏が筑後をほぼ制圧した後も、統景は居城である長岩城に攻め寄せた秋月氏・星野氏の連合軍を見事に撃退。逆に星野氏の支城を攻略するなど、孤軍奮闘の活躍を見せました。その忠義と武勇を認められ、統景は大友家の家紋である杏葉紋の使用を許され、一門に准ずるという破格の待遇を受けることとなります。

九州平定への貢献と壮絶な最期

龍造寺隆信の死後、統景は黒木氏・田尻氏ら筑後の反大友勢力の駆逐に貢献。大友本軍が豊後に撤退した後も、筑後支配の要としてその地に留まりました。天正12年（1584年）には、秋月氏・星野氏、そして大叔父にあたる問註所鑑景らが長岩城に攻め寄せますが、統景は弟である鎮春と共にこれを撃退し、鑑景らを討ち取るという勝利を収めます。その後、薩摩国（現在の鹿児島県）の島津氏の侵攻を受けますが、長岩城に籠城し、最後まで城を守り抜きました。豊臣秀吉による九州平定が始まると、統景は日向国（現在の宮崎県）侵攻の先導役として先陣を務め、その手腕を発揮。戦後、本領を安堵されています。

文禄の役では、小早川氏に従い朝鮮半島へ出陣。数々の合戦で武功を挙げたとされていますが、『問註所家譜』によれば、文禄2年（1593年）9月2日、弟の町野正白と共に小早川秀包の先鋒として、明の劉綎と晋州城外西南方二十里の河東郡で遭遇し、先鋒数百兵と共に戦死しました。この戦いで立花宗茂が小早川軍を救援したことが縁となり、統景の子である政連は立花氏に仕えることとなります。

問註所統景は、激動の戦国時代において、大友家への忠義を貫き、領地を守り抜き、豊臣秀吉の九州平定に貢献した武将でした。その壮絶な生き様は、今もなお語り継がれています。

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