営団08系電車

営団08系電車：半蔵門線の顔、技術と安全性の追求

営団08系電車は、2003年3月19日の半蔵門線水天宮前～押上間の開業と東武鉄道伊勢崎線・日光線との相互直通運転開始に伴い、必要編成数の増加に対応するために導入されました。帝都高速度交通営団（営団）によって2002年に製造され、60両（10両編成6本）が日本車輌製造で製造されました。2004年の営団民営化後は、東京地下鉄（東京メトロ）に継承されています。

本形式は、営団地下鉄における最後の新形式車両であり、「0x系」の系列名で登場した最後の車両でもあります。「人や環境に快適でやさしい車両」をテーマに、先に登場した東西線用の05N系をベースに設計されました。2000年3月に発生した日比谷線脱線衝突事故の教訓から、車体構造の見直しや安全性の向上を目的とした改良が加えられ、新設計の台車が採用されています。

外観の特徴

車体: アルミニウム無塗装で、半蔵門線のラインカラーである紫色の帯が巻かれています。側面は、紫色に白とピンクを加えて柔らかい印象に。
床面高さ: 車椅子での乗降を考慮し、8000系よりも60mm低い1,140mmに設定。
前面デザイン: 05N系の縦曲線をベースにしつつ、フロントガラスの四隅や前照灯の形状に角ばった直線を取り入れたデザイン。前照灯は四角形のHID、尾灯は三角形のLED。
スカート: 05N系に準じた形状のものを設置。
車外スピーカー: 空調装置キセ内部に搭載し、車外案内用として活用。
前面ガラス: グリーンの熱線吸収ガラスを使用。窓上部には遮光フィルムを貼付。
非常扉: 地下鉄線内におけるプラグドア式の非常扉と車内への非常階段を前面に設置。
車体構造: 側構体を従来のシングルスキン構造からダブルスキン構造に変更し、車体強度を向上。車端部の隅柱を強化し、三角形断面構造を採用。
その他: 車体外板接合の一部に摩擦攪拌接合 (FSW) を採用し、外観の向上を図る。側面屋根は張り上げ屋根構造。
転落防止幌: 各車連結面に灰色の転落防止幌を装備。4号車の妻面には誘導無線用のアンテナがあるため、ステンレス製の板を巻いて対応。

車内設備

内装: 清潔感のある白色を基調とし、床材はラベンダー色を使用。座席モケットは、江戸紫をイメージした濃いめの紫色。
座席: 1人分の掛け幅が450mmの片持ち式バケットシート。中間車の座席配置は3-7-7-7-3人掛けで、7人掛け座席は3+4人にスタンションポールで区切られています。優先席の座席モケットは青色で、付近のつり革はオレンジ色。
車椅子スペース: 3号車と9号車に設置。
客用ドア: 車内も化粧板仕上げで、ドアガラスは複層ガラスを使用。
連結面: 各車貫通扉があり、妻窓も設置。
側窓: 扉間は2連の下降式ユニット窓、車端部は固定窓。
カーテン: ベージュ色で波線状の模様入り、フリーストップ式を採用。
冷房: ラインフローファン方式で送風。ラインデリアは先頭車に9台、中間車に10台設置。

運転台と主要機器

運転台: 乗務員の居住性、操作性、視認性を考慮した設計。室内はクリーム色、運転台計器盤は濃い灰色で配色。
保安装置: 東京地下鉄と東急電鉄のATC装置、東武鉄道のATS装置を搭載。
VVVFインバータ制御: 2レベル方式・ベクトル制御による1C4M2群/1群制御を採用。
その他: 補助電源装置にIGBT素子を使用した静止形インバータ (SIV) を、空気圧縮機 (CP) に三菱電機製のレシプロ式C-2500LB形を搭載。パンタグラフはシングルアーム式を採用。

08系は、半蔵門線の輸送力増強と安全性向上に大きく貢献しました。現在も、鷺沼検車区に60両が在籍し、8000系と共通運用されています。

もう一度検索