界磁

界磁（Field System）とは

界磁とは、整流子機や同期機を電動機または発電機として使用する際に、磁界を発生させる役割を担う固定子または回転子のことです。磁界を発生させる方法によって、大きく分けて電磁石界磁と永久磁石界磁の2種類があります。

電磁石界磁

電磁石界磁は、コイルに電流を流すことで磁界を発生させます。一般的には直流電流で励磁されますが、電動機として使用する場合には交流電流で励磁されることもあります。

電磁石界磁の主な種類と特徴

直巻整流子電動機: トルクが電流の2乗に比例して増大するため、負荷に応じた電流を流すことで回転数を制御しやすいという特性（直巻特性）があります。また、電流を切って慣性で回転する際に、界磁の磁力による抵抗がなくなるという利点があります。これらの特性から、電気車（電車・電気機関車の総称）の電動機として長年使用されてきました。
分巻整流子電動機: 回転数によらずトルクが一定に近くなるという特性があります。この特性から、起重機などの用途に適しています。
同期電動機: 電流を変化させることで力率調整に利用できます。

永久磁石界磁

永久磁石界磁は、永久磁石を用いて磁界を発生させます。界磁巻線がないため、電気抵抗による損失がなく効率が良いという特徴があります。また、界磁の磁界が一定であるため、分巻特性を示し、回転数を一定に保ちやすいという利点があります。

永久磁石界磁の主な特徴

効率が良い: 界磁巻線がないため、電気抵抗による損失がありません。
回転数を一定に保ちやすい: 界磁の磁界が一定であるため、分巻特性を示します。

永久磁石界磁の注意点

回転数の制御が難しい: 界磁の磁界が一定であるため、回転数の制御が自由ではありません。
コッギング抵抗: 電流を切って慣性で回転する場合に、（特に小さいものの場合）磁力線を切る形でコッギング抵抗となります。

用途に応じた使い分け

界磁の種類によって特性が異なるため、用途に応じて適切な界磁を選択する必要があります。

電気車: 直巻整流子電動機が、そのトルク特性と回転数制御のしやすさから適しています。
起重機: 分巻整流子電動機が、トルクが一定に近いという特性から適しています。
クレーン: 回転数を一定に保ちやすい永久磁石界磁電動機が適しています。

関連項目

同期速度
電気車の速度制御#界磁を制御する方法

もう一度検索