国民の党 (2016)

国民の党について

国民の党（こくみんのとう）は、韓国における政治団体の一つで、2016年に設立されました。この党は、安哲秀を中心とする政治家たちによって創設され、設立当初から韓国の政治舞台で一定の影響力を持つ存在となりました。しかし、2018年に「正しい未来党」と統合され、その結果として国民の党は消滅しました。その後、2020年に安哲秀が新たに同名の政党を設立しましたが、組織的には民生党が後継として位置づけられています。

設立の経緯

国民の党は、2016年の第20代総選挙において、文在寅執行部との対立を背景に、新政治民主連合から分離した安哲秀や千正培といった議員たちによって設立されました。設立日は2016年2月2日ですが、1月に発表された新党名が仲間を集める要因となり、その後一般投票を通じて速やかに議席を増やしました。国会においては、共に民主党や自由韓国党（現在の国民の力）に次ぐ第3党として、強い存在感を示しました。

地域的基盤と支持層

この党の支持基盤は主に全羅道地域、すなわち全羅北道、全羅南道、光州広域市に分布しており、特に30代から50代の層や中道層からの支持を集めていました。また、保守層からも比較的支援を得ており、その影響力を拡大させていました。党内では安哲秀派と全羅道派の二つの勢力が存在しましたが、2016年12月に朱昇鎔が院内代表に就任することで、全羅道系の影響力が強まったとされます。

政策と理念

国民の党は、その政綱において「合理的進歩と保守の両翼で国民に安全な生活と暖かい福祉を提供する民生政治を追求する」と謳い、時代に即した中道イデオロギーを掲げました。また、安哲秀自身が「第三の道」を志向しており、アメリカの民主党やイギリスの労働党に影響を受けた政策が目指されました。具体的には、個人や集団の多様性を認め、性平等や社会的弱者の権利尊重を重視した政治を推進していました。

さらに、経済政策においては、「生産と分配が善循環する公正成長」を掲げ、大企業と中小企業の格差や富の不平等を解消するため、協力や妥結の精神を重要視していました。これにより、中産層と庶民が共存できる社会の形成を目指しました。特に、青年失業や非正規職問題に関する対策として、雇用創出や新技術の革新企業への支援なども明記されています。

歴史的経過

国民の党は、短い歴史の中でいくつかの重要な出来事を経てきました。2015年には安哲秀が新政治民主連合を離党し、新党結成の意向を示しました。2016年には様々な合併を経て正式に結成され、同年の総選挙では38議席を獲得し議会に進出しました。この結果は大きな注目を集め、特に比例選挙では共に民主党を上回る成果となりました。その後、政治資金法違反の疑惑を受けた党指導部が辞任する事件が起きたものの、党は引き続き活動を行っていました。

しかし、2018年には正しい政党との統合を迎え、名称を「正しい未来党」に変え、事実上消滅しました。その後、安哲秀が新たに同名の党を設立するも、実質的な後継は民生党であると指摘されています。

国民の党は、韓国政治において短期間ながらも強い影響を及ぼした政党であり、その存在は現代民主政治の課題を考える上で重要な要素といえるでしょう。

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