国鉄クモヤ93形電車

クモヤ93形 - 日本の架線試験車

概要

クモヤ93形は、かつて日本国有鉄道（通称：国鉄）に存在した架線試験車で、主に電車として利用されていました。この車両は、走行中に架線の状態を測定することができる特別な車両でありながら、高速試験車としても機能する設計が施されています。1958年4月に、モハ51078を元に改造され、モヤ4700形（4700）として完成。田町電車区に配属されました。

車歴

クモヤ93形の外観は、改造前のクモハ51とはまったく異なり、形式図上でもその違いが明確に示されています。改造の際には台枠だけが流用され、その他の部分は全面的に改装されたため、当初台枠のみを流用したという誤解が生じたことがあります。しかし、実際には台枠と側板が再利用されたという点が重要なポイントです。

特に、元のクモハ51のデザインは試験車として変更され、客扉間の窓の数や配置が異なります。この違いは、戦後に形式変更されたクモハ51を元にしたことによるもので、客扉が残っている側の窓配置はモハ40のものに近いです。これにより、検測のために改造された際に窓の配置が困難な調整がなされました。

さらに、クモヤ93形の車体は低屋根構造で設計されており、湘南顔と称される非貫通2枚窓を持つ両運転台のスタイルを採用しています。前照灯は高速走行対応として配置されており、車両の外観はぶどう色2号で塗装され、クリーム色の帯が施されています。前面には警戒色として「ヒゲ」が取り入れられ、夜間や高速運転時の視認性を向上させています。

技術仕様と装備

この架線試験車は、両端に支障がないように2基のパンタグラフを設置しており、中央付近には架線観測用のドームが取り付けられています。ドームの横には検測用の投光器も配置されていて、架線状態の把握が行いやすい構造になっています。パンタグラフは、交流2万ボルトに対応した交直両用型で、必要に応じて他の車両を牽引して電化区間の調査が可能です。

台車には川崎車輛が試作したOK-4を使用し、主電動機は強力なMT901を4基搭載しています。最高速度は136km/hに設定されていますが、駆動装置には従来の吊り掛け式が採用されていました。特に、高速試験を行う際にはブレーキ率が自動で調整される装置が搭載されており、安全性が高められています。

高速度試験

クモヤ93形は数回の試験で高速度を記録し、その中には、1959年12月の165km/h、1960年2月の167km/h、そして同年の11月には175km/hという世界記録を達成するバラエティもありました。
これらの記録は特に新幹線用の試作パンタグラフやPC枕木を用いた試験区間で達成され、狭軌鉄道の速度記録として名を挙げられました。これに伴い、記念的な「チャンピオンプレート」が車両の側面に掲げられ、その記録に関連するエピソードが後に碑として残されています。

まとめ

クモヤ93形は、日本の鉄道史において重要な役割を担った架線試験車であり、今でもその成果は鉄道技術において影響を与え続けています。また、そのユニークなデザインや技術力は後の鉄道車両にも多くの知見を提供しており、鉄道愛好家の間でも現在なお語り継がれる存在です。

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