国鉄クモユ141形電車

国鉄クモユ141形電車について

国鉄クモユ141形電車は、1967年から製造が始まり、日本国有鉄道（国鉄）に所属した郵便輸送用の電車です。この形式は、国鉄の新性能直流電車の一環として位置づけられ、郵便物運搬のために特別に設計されました。

概要

クモユ141形は、国鉄が直流形新性能電車として初めて採用した1M方式を備えた電車であり、これは電装機器を2両に分散搭載する従来の設計から一新したものです。郵便車として新たに製造されたこの電車は、荷物車の改造から生まれた旧型車両とは異なり、全室が郵便室として設計されている点でも特徴的です。1967年8月に導入され、当時の国鉄の新性能電車としての流れを引き継ぎました。

クモユ141形は、1967年から1968年にかけて、全10両が日本車輌製造と汽車製造によって製造されました。これらの車両は主に上越線や信越本線で運用され、郵便電車としての役割を果たしました。1986年のダイヤ改正をもってトラック輸送に切り替えられ、その後全車両が運用を終了し廃車となりました。

車両構造

クモユ141形は前後に運転台を持つ両運転台式の設計であり、1両での運転が可能です。正面デザインには、高運転台および3連窓を採用しており、これにより視界が良好な運転環境が確保されています。また、当時の国鉄「荷電」の標準形態に準じた意匠が特徴です。外部塗装には「湘南色」と呼ばれる緑2号と黄かん色の組み合わせが施されています。

車内は、郵便物を区分けするための区分室や押印台、各種郵袋室が配置されています。冷房装置も初めから搭載されており、鉄道郵便局員が快適に使用できる環境が整えられています。郵便室の荷重は最大で7トンです。

主要機器と性能

クモユ141形は主に1両単位で運用されることに特化した設計となっています。主要な動力装置として100kWの直流直巻電動機を4基装備しており、効率的な速度性能が求められます。主制御器は、従来型の設計を近代化したもので、旧性能車両との併結運転にも対応しています。

また、他の電車形式との併結が可能であり、新旧の電車の運用をスムーズにするための工夫が随所に見られます。さらに、電動発電機や主抵抗器も小型化されており、制御や冷房用の電力を供給します。

運用の歴史

最初に製造された1 - 5号車は新前橋電車区に配属された後、長岡運転所に転属し、高崎線や上越線系統で利用されました。6 - 10号車は宮原電車区に配置され、東海道本線で運用されていました。1986年のダイヤ改正により、鉄道郵便の輸送がトラックに切り替えられたため、全車両が運行を終了しました。所定の最終運行を経た後、全てが廃車という形でその役目を終えました。

総括

国鉄クモユ141形電車は、日本の鉄道郵便輸送のために設計された電車の一例であり、運用・設計の観点からも多くの工夫がなされています。新性能電車の先駆けとして、また郵便輸送の重要な存在として、その歴史に名を刻む車両と言えるでしょう。

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