国鉄シキ1形貨車 (2代)

国鉄シキ1形貨車の概要

国鉄シキ1形貨車は、1961年10月5日に汽車製造によって製造された、エチレン輸送に特化した30トン積みの特殊な貨車です。この車両はフレキシバン方式に基づいており、インターモーダル輸送を実現するために設計されています。もともと存在した同名のシキ1形とは全く異なるもので、ほぼ1台のみが製造され、この形式は私有貨車として登録されてさらに国有鉄道（国鉄）の車両となりました。

フレキシバン方式の特徴

フレキシバンとは、道路輸送と鉄道輸送をスムーズに連携させるための手法で、荷台はトレーラーによって道路を移動し、鉄道の貨車ではターンテーブルを使って荷台を載せ替える仕組みです。この技術はアメリカで発展し、日本では幾つかの形態が試作されましたが、大物車に分類されたのはシキ1形の一例のみでした。これには、私有貨車としての運用に必要な登録手続きが関係しています。

車両の構造

シキ1形の全長は14,300mmで、通常の二軸台車2つを持ちます。特徴的なのは、全長を通じての構造が中梁のみに限定されており、側梁は設けられていない点です。また、台車の上部分やターンテーブルは全幅にわたって設計されています。ターンテーブルは油圧式で昇降し、24Vの電源から供給される電動ポンプを用いて稼働します。一方、ターンテーブルの回転は手動で行われ、台車にはTR63B形が利用されており、ブレーキには手動積空切り替え式のA弁とUC形シリンダーが搭載されています。

この貨車は最大で14.5トンのフレキシバンを2台積むことができ、内部には横倒しに配置された6本のエチレンガスボンベを縦に3列、合計18本収納しています。各ボンベの容量は約400リットルで、18本トータルでは約2トンのエチレンガスを運ぶことが可能です。残りの約12.5トンはボンベの自重とフレキシバン自体の重さです。

運用の歴史

この貨車は、当初丸善石油（現在のコスモ石油）の所有物で、新興駅に常駐していました。使用目的は、松山製油所が必要とするエチレンを日本石油化学川崎製油所から運び込むことでした。松山製油所は三津浜駅から約3キロメートル離れており、専用線がないため、トラックのみでは輸送が難しい状況にありました。

特に危険物を旅客船に積載することが法律で禁じられていたため、トラック単独での輸送は困難でした。このため、浜川崎駅から宇高連絡船を介して三津浜駅まで鉄道で運搬し、その後、トラックで最終地点まで輸送する形が採られました。実際の使用状況は詳しくは分かりませんが、1968年には汽車製造が所有し小名木川駅に常駐。1972年には川崎重工業の所有となり、岡本駅に保管されましたが、最終的には1973年10月23日に廃車にされました。

参考文献

• - 吉岡心平『大物車のすべて 下』（ネコ・パブリッシング、2007年）
• - 貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車 -技術発達史-』（日本鉄道車輌工業会、2009年）
• - 江上辰郎「鉄道における貨物輸送技術の発展」（日本機械学會誌、1966年）

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