国鉄シ1形貨車

国鉄シ1形貨車の概要

国鉄シ1形貨車は、大正10年（1921年）から昭和32年（1957年）にかけて製造された低床式の大物車で、積載能力は10トンから12トンです。この貨車は主に長物輸送に使用され、その特異な設計が施されています。かつてはホシウ70形に分類されていましたが、昭和3年の称号規程によって6両がシ1形として再分類され、さらに数両がその後新造されました。この記事では、特に1968年のダイヤ改正に伴いシ200形へ編入された6両についても詳しく触れていきます。

シ1形の背景

以前の鉄道車両は4輪単車が主流でしたが、時代の流れによりボギー車が普及していく中で、床下機器が支障をきたすようになりました。シ1形貨車はその問題を解決する手段として、低床部を設け、床下機器と荷物の積載を両立させたことが特徴です。ただし、大正時代に製造されたシ1形の初期モデルでは、低床部に荷重をかけることができませんでした。

シ1形の各タイプ

シ1形は大きく4つのグループに分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。すべて私有貨車で、鉄道車両メーカーによって製作されました。以下に各タイプの詳細を説明します。

シ1 - シ4

最初のグループであるシ1からシ4の4両は、ホシウ70形のホシウ74からホシウ77として1921年に製造されました。汽車製造東京支店が製作した私有貨車で、全長は15,611 mm、荷重は10トンです。車体は鋲接で組み立てられ、トラス棒によって強化されています。当初は側ブレーキのみの仕様でしたが、1962年に空気ブレーキに改造されました。常に錦糸町駅や安治川口駅、小名木川駅などで待機していましたが、ヨンサントオに伴い旧式台車が問題視され、シ200形のシ201からシ204に編入されました。最終的には、1969年と1970年に全車が廃止されました。

シ5・シ6

次に、シ5とシ6の2両は1922年に製造されたホシウ70形のホシウ78とホシウ79で、製作は川崎造船所でした。この車両も先のグループに類似していますが、こちらは荷重が12トンとやや多めです。主に兵庫駅に常駐しており、ヨンサントオに伴ってシ200形のシ205およびシ206に改編されましたが、1972年にはともに廃車となりました。

シ7・シ8

シ7およびシ8の2両は1953年にナニワ工機によって製造され、全長は15,800 mmで、こちらも荷重は10トンです。先のグループとの大きな違いは、溶接で組み立てられた点で、トラス棒はありません。これらの車両も75 km/hへ最高速度が向上し、シ200形への編入は行われませんでした。常駐駅は尼崎であり、1992年に廃車となりました。

シ9

シ9は1957年に製造された貨車で、東洋工機が手掛けたものです。シ7・シ8と基本的な仕様は同じですが、細部が異なる点があります。こちらも75 km/hに対応した仕様で、シ200形には編入されませんでした。常駐駅は平塚で、1972年に廃車されました。

結論

国鉄シ1形貨車は、特異な設計と歴史を持つ個体として鉄道輸送に貢献しましたが、技術革新によって最終的には廃止されています。本貨車の概要と各タイプの特性からは、その時代の輸送ニーズと技術の変遷を垣間見ることができます。

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