国鉄テキ1形貨車 (2代)

国鉄テキ1形貨車について

国鉄テキ1形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）において利用されていた鉄製の有蓋車です。この貨車は、1962年から1963年の間にかけて、川崎車輛と汽車製造によって合計64両（テキ1からテキ64まで）が製作されました。特筆すべきは、35トン積みの二軸ボギー構造に設計されていることです。

当時、鉄製の有蓋車が全国的に不足していたため、国鉄は民間資金を活用し、私有貨車としてこの形式の車両を製造しました。所有者は磐城セメントであり、1963年10月に住友セメントに改称されています。

テキ1形貨車の主な用途は、袋詰めのセメントの輸送です。このため、荷室のサイズは非常に特別で、最大で50キログラムのセメント700袋を収納することが可能です。容積は53.8立方メートルに制限され、荷室の高さは1,950ミリメートルとかなり低く設計されています。このデザインは、セメントの輸送に特化したものであり、実際にはその形状を考慮して設計されたのです。

また、使用されている材料も特長的です。車両の床板、側板、屋根は全て鋼板製で、漏水や化学反応による発熱に対処するために強固に作られています。荷役用の扉は、車体片側に2箇所設けられ、幅1,600ミリメートル、高さ1,800ミリメートルの両引鋼製戸が使用されています。側引戸は、粉塵による詰まりを防ぐために吊戸式で設計されています。また、屋根は平鋼板製で、平型台枠に300ミリメートルの溝形鋼を用いた中梁が備えられています。

テキ1形貨車の荷室は、長さが10,950ミリメートル、幅が2,580ミリメートルで、床面積は28.2平方メートルに達します。全長は11,750ミリメートル、全幅は2,850ミリメートル、全高は3,210ミリメートル, 台車中心間距離は7,650ミリメートルとなり、自重は15トンとされています。さらに、採用されている台車はスリーピース式一体鋳鋼台車のTR41Cで、最高運転速度は75キロメートル毎時、車軸は12トンの短軸です。

この貨車は特に美濃本巣駅や大越駅といった指定された駅との間でセメントの輸送に使用されていました。しかし、ばら積み輸送が進展する中で、1971年5月から1972年2月にかけて全ての車両が廃車となり、わずか8年から9年で生産を終えました。廃車後、これらの台車はセメント専用タンク車タキ1900形に転用されたとされています。今では、この貨車の存在は過去のものとなってしまいましたが、輸送業界の発展に一役買った重要な車両でした。

参考文献には、「国鉄貨車形式図集 I」（1992年）や、貨車技術発達史に関する書籍などがあります。これらの資料は、テキ1形貨車についての詳細な技術的背景や運用状況を理解するために役立ちます。

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