国鉄157系電車

国鉄157系電車

国鉄157系電車は、1959年に日本国有鉄道（国鉄）が設計・製造した長距離用の直流急行形電車です。本系列は、やがて特殊特急形車両に分類され、特急列車や万華鏡のように多彩な運用を行いました。特に、日光へ向かう電車として知られ、その性能や設備の向上を図る試作車としての重要な役割を果たしました。

概要

1956年の10月に運行が始まった東京駅から日光駅への準急「日光」は、当初キハ55系気動車によるものでしたが、1958年に電化が完了したことで、同路線の電車化が計画されました。そこで国際観光地である日光線へのアクセスを強化するため、22系電車を基に優れた設備を持つ157系電車が開発されました。157系は、151系電車に匹敵する特急形車両並みの設備を早くから備え、1959年に製造が開始。その性質上、「日光形電車」とも呼ばれました。

その後、157系は特急列車にも投入され、一般旅客用31両と皇室用貴賓車のクロ157形が1963年までに製造されました。

車体構造

車体は全金属製でセミモノコック構造を採用しており、153系に似た断面形状が特徴です。特に、車両限界に応じた裾が絞られた形状をしています。前面にはパノラミックウインドウが取り入れられたデザインで、踏切事故対策として非貫通構造に設計されています。また、冷房装置の搭載に備えた準備工事も施されています。

車内設備

157系の車内は特急形車両と同等の設備があり、2等車にはリクライニングシート、3等車には回転クロスシートが採用されています。また、荷物棚はパイプ式とされ、トイレと洗面所も全車両に設置。特に貴賓車として使われたクロ157形では洋式トイレが設けられ、外国人への配慮がなされています。

主要機器

157系では、MM'ユニット方式が採用されており、1基の主制御器で2両の主電動機を制御する1C8M方式が採用されています。営業運転最高速度は110 km/h、設計最高速度は130 km/hです。また、車両内の電動車比率を高めるため、編成はクモハ157形、モハ156形を前後に配置し、その間に付随車を挟むユニット方式が取られました。

運用の歴史

1959年から1970年代にかけて、157系は東京 - 日光間の準急列車や特急「ひびき」など多くの路線で運用されました。1970年代以降は徐々に置き換えが進み、1976年には運用を終了しましたが、貴賓車のクロ157形はその後も皇室の移動などに利用されました。

特殊な運用

157系はまた、特別列車にも多く使用されました。特に1962年に行われたアジア極東経済委員会の視察用臨時列車や、1964年に発生した事故の影響で運用が一時変更されたこともあります。

結論

国鉄157系電車は日本の鉄道史の中で重要な役割を果たした車両です。製造当初から特急列車に相応しい設備と性能を備え、そのデザインや内装は今も多くの人々に愛され続けています。

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