国鉄3050形蒸気機関車

3050形蒸気機関車の概要

3050形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院・鉄道省に所属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は1907年に参宮鉄道によってアメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークスから2両が輸入され、2気筒単式の飽和式タンク機関車として運用を開始しました。製造番号は29955と29956で、当初は3形（9, 10）として名称が付けられました。

国有化の経緯として、同年の10月に参宮鉄道が国有化されたため、官設鉄道の一部として扱われることになりました。この際、1909年に実施された鉄道院の車両称号規程により、3050形（3050号と3051号）に改番されました。

外観と仕様

3050形は、ボールドウィン社の規格である10-26 1/4Dに基づいて製造され、その車軸配置は2-6-2(1C1)でした。他のボールドウィン製機関車と同じく、旧北海道炭礦鉄道の3060形と外見が似ていましたが、水タンクの容量やサイドタンクのサイズが異なる点が特徴です。特にサイドタンクは大型で背が高い設計となっています。

運用と転配

国有化後は、3050形は山田庫に配属され、旧参宮鉄道の路線で活躍しました。1918年頃には神戸と兵庫に転属し、入換用機として使用されるようになりました。その後、有馬線や信楽線などでも運用され、晩年は梅小路庫に所属しました。

廃車とその後の運命

3050形は1934年8月に廃車となり、両車は小倉鉄道に譲渡されました。ここでは国有鉄道時代の形式番号を維持しつつ使用されましたが、3051号は1942年に小名浜臨港鉄道に譲渡され、C512として1952年まで運用されました。一方で3050号は、1943年に戦時買収により再び国有鉄道籍に戻されましたが、1948年には廃車され、解体されました。

技術的なスペック

3050形の主要な技術的なスペックは以下の通りです：

• - 全長: 10,656mm
• - 全高: 3,734mm
• - 全幅: 2,546mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-6-2(1C1)
• - 動輪直径: 1,219mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー: 406mm×559mm
• - ボイラー圧力: 11.3kg/cm²
• - 火格子面積: 1.73m²
• - 全伝熱面積: 89.0m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 81.5m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 7.5m²
• - ボイラー水容量: 2.4m³
• - 小煙管: 51mm×3,023mm×169本
• - 機関車運転整備重量: 51.04t
• - 機関車空車重量: 40.68t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 36.14t
• - 機関車動輪軸重（第3動輪上）: 13.28t
• - 水タンク容量: 5.4m³
• - 燃料積載量: 1.58t

機関車の性能面では、シリンダ引張力が7,200kg、ブレーキ装置には手ブレーキおよび蒸気ブレーキが装備されていました。このように、3050形は運用期間中、多くの路線でのサービスを提供し、蒸気機関車としての意義を持つ存在でした。

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