国鉄495系電車

495系電車について

495系電車は、日本国有鉄道（国鉄）が製造した事業用の交流直流両用電車、正式には架線検測車です。この車両は1966年に日立製作所笠戸工場で製造され、主に架線状態の測定を目的とした専用車両です。

概要

495系電車は、クモヤ495形（クモヤ495-1）とクモヤ494形（クモヤ494-1）の2両から成るユニットで、全体で1編成のみが製造されました。これらの車両は、既存のクモヤ93形やクモヤ492・493形と同様に、走行中に架線の状態を測定する機能を備えています。製造当初は、2両ともパンタグラフ（PS16B）を2基装備しており、高速運転時の集電特性を解析するのを目的としていました。ただし、クモヤ494形は集電と測定の切り替えが可能でしたが、クモヤ495形は測定専用であったため、使用するパンタグラフの数を状況に応じて使い分けることが可能でした。

車体の特徴

495系電車の車体は、当時の交直流急行型電車をベースにデザインされていますが、前面部は非貫通で、おしゃれな曲面の3枚窓構成となっています。また、正面窓の凍結を防ぐために熱線入りガラスが採用されています。独自の意匠として、車体の下部にはすそ絞りがなく、他の国鉄新性能電車とは異なる特異な外観を持っています。

電装品やブレーキ機器は、483系交直流特急型電車のものが基本となっており、直流と交流（50Hzおよび60Hz）に対応するために、改良型の変圧器TM9Aを搭載しています。また、新型台車（DT37X）が使用されており、高速走行（最大160km/h）にも対応しています。全体的に低屋根の構造を持ち、狭小トンネルが存在する身延線などへの運行も可能でした。

塗装と内部構造

車体塗色は、国鉄の標準的な交直両用車両の色、赤13号（ローズピンク）が施され、前面にはクリーム4号の警戒色が施されていました。直流専用化改造後も長い間ローズピンクのままでしたが、1988年に青15号と黄5号の組み合わせに変更されました。

車内は、クモヤ494形に架線関連の測定機器を扱うための総合操作盤が装備され、測定データを表示する計器やオシログラフ、電源室、作業スペース、監視室、冷房装置など、様々な機器や施設が配置されています。特に、架線観測用のドームも備えており、高度な測定機能をサポートしています。

運用履歴

495系電車は、新製された当初は勝田電車区に配置され、その後1971年には向日町運転所に転属しました。その後金沢運転所に転属し、牽引車とするための改造が行われました。その際、自動連結器から双頭連結器に変更され、他の形式との連結に備えたジャンパ栓も増設されました。

1982年には電気検測車としての改造が行われ、クモヤ495形のパンタグラフが1基撤去されたほか、冷房装置の増設も行われました。1986年には大垣電車区に転属し、1987年の国鉄分割民営化の際には東海旅客鉄道（JR東海）に譲渡されました。JR東海では利用されることがなかったため、交流機器が撤去され、形式も193系50番台に変更されました。最終的には、キヤ95系の登場に伴い、1998年に廃車となりました。

結論

495系電車は、特異なデザインと高度な機能を持つ架線検測車として、国鉄の歴史に名を刻む存在でした。その運行や改造の経歴は、技術の進化とともに変化していきましたが、その希少性からも多くの鉄道ファンの心をつかんでいました。

もう一度検索