国際連合安全保障理事会決議1973

国際連合安全保障理事会決議1973（UNSCR1973）について

国際連合安全保障理事会決議1973（UNSCR1973）は、2011年3月17日に国際連合安全保障理事会で採択された、リビア情勢に関する重要な決議です。この決議は、リビアにおける紛争の激化と、それによって引き起こされる人道的危機への国際社会の懸念を背景に生まれました。

決議の概要

UNSCR1973は、リビアにおける即時停戦の確立を強く要求し、民間人を保護する責任を果たすために、国際社会がリビア上空に飛行禁止空域を設定することを容認しました。また、外国軍による占領を除く、あらゆる必要な措置を加盟国に許可しました。これは、カッザーフィー政権による市民への攻撃を阻止し、人道的な状況を改善するためのものでした。

2011年10月27日、国連安保理決議2016が採択され、同年10月31日をもってリビアに対する軍事介入が終了することが決定されました。これに伴い、UNSCR1973に基づいて実施されていた一連の制裁措置も解除されました。

この決議は、フランス、レバノン、イギリスによって共同提案され、10カ国の賛成を得て成立しました。中国やロシアなどの国は棄権しましたが、反対票は投じられませんでした。

決議の内容

UNSCR1973は、以下の主要な内容を決議しました。

即時停戦の確立と、民間人に対するあらゆる暴力、攻撃、人権侵害の完全停止の要求
リビア上空への飛行禁止空域の設定
市民と市民が多く存在する地域を保護するための、「外国勢力による占領」を除くあらゆる手段の許可
船舶と航空機の強制的な検査による武器輸出禁止と傭兵に対する措置の強化
指定された全てのリビアの航空便に対する禁止
リビア政府当局によって所有されている資産の凍結と、それらがリビア国民の利益のために使われるべきであるという再確認
決議1970における旅行禁止と資産凍結措置の、リビアにおける個人への追加
制裁の実施を監視し、推進するための専門家パネルの設置

投票結果と各国の反応

安全保障理事会の常任理事国である中国とロシアは、飛行禁止空域設定の実効性と、他の手段による解決の可能性が残されている段階での武力行使に対して慎重な姿勢を示し、棄権しました。しかし、イスラム協力機構や湾岸協力会議が飛行禁止空域設定を支持し、アラブ連盟が空爆の容認を含む対リビア非難声明を採択したことが、最終的な棄権の理由となりました。安保理メンバーのアフリカ諸国はリビア政府を非難し、全て賛成に回りました。

棄権票を投じたドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ドイツは軍事作戦には参加しないとしながらも、「我々はこの決議の目的を深く共有している。我々が投じた棄権票が中立を意味すると誤解されてはならない」と述べました。

リビアの反応

ムアンマル・アル＝カッザーフィー政権は、UNSCR1973への対応として、2011年3月18日に軍事活動の即時停止を発表しました。しかし、その後もベンガジやミスラタに対する攻撃を継続したため、3月19日に米英仏を中心とする軍事介入が行われることとなりました。

まとめ

国際連合安全保障理事会決議1973は、リビアにおける人道的危機への対応として、国際社会が一致して取り組むことを決定した重要な決議です。この決議は、リビアの市民を保護し、紛争の平和的な解決を促進することを目的としていましたが、その後の軍事介入や政権崩壊など、リビア情勢に大きな影響を与えました。

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