国際DORIS事業

国際DORIS事業（International DORIS Service; IDS）は、国際測地学協会（IAG）の事業として、国際地球回転・基準系事業 (IERS) と密接に連携して運営されています。この事業は、DORIS（仏：Doppler Orbitography and Radiopositioning Integrated by Satellite）という衛星測位システムから得られるデータを利用し、測地学および地球物理学の研究活動をサポートすることを目的としています。具体的には、DORISの国際観測と技術開発を推進するために、2003年にIAGの下に設立された国際共同事業機関です。

IDSの中央局は、フランスのオート＝ガロンヌ県ラモンヴィル・サンタニュにあるCollecte Localisation Satellites (CLS) に置かれています。この場所は、IDSの活動を円滑に進める上で重要な役割を果たしています。

IDSの主な機能

IDSは、参加機関との国際協力を基盤として、DORIS観測データを収集・保管・配布しています。これらのデータは、多様な応用や実験目的に対応できるだけの高い精度を持っています。

IDSが提供するデータセットから、以下の成果が導き出されます。

IDS追跡所の座標および速度
地心および地球基準座標系の目盛
高精度のDORIS衛星暦
地球姿勢パラメータ (EOPs)

これらの成果は、現代科学の様々な目的で活用されています。

国際地球基準座標系 (ITRF) の提供と改善: ITRFは、地球上の位置を正確に測定するための基準となる座標系であり、IDSのデータはITRFの精度向上に貢献しています。
固体地球の変形監視: 地殻変動や地盤の隆起・沈降などの固体地球の変形を監視し、地震や火山活動の研究に役立てています。
験潮儀での地殻変動監視: 海面変動を測定する験潮儀と組み合わせることで、より正確な地殻変動を監視できます。
水圏（海面、氷床など）の変動監視: 海面水位や氷床の変動を監視し、気候変動や海洋研究に貢献しています。
科学衛星の軌道決定: 科学衛星の正確な軌道決定は、衛星観測データの解析に不可欠であり、IDSのデータはこれに役立っています。

IERSとの連携

IDSは、国際地球回転・基準系事業 (IERS) の技術センターの一つとしても位置づけられています。IERSは、地球の自転や基準座標系に関する国際的な基準を提供する機関であり、IDSはIERSと連携することで、より信頼性の高いデータと成果を提供しています。

関連事業

IDSは、以下の国際的な測地学関連事業とも関連しています。

国際地球回転・基準系事業 (IERS)
国際GNSS事業 (IGS)
国際レーザー測距事業 (ILRS)
国際VLBI事業 (IVS)

これらの事業は、それぞれ異なる観測技術を用いて地球の変動を監視し、IDSのデータと合わせて、地球の総合的な理解に貢献しています。

DORISについて

DORISは、フランスが開発した衛星測位システムで、地球上の観測局から衛星へ電波を送信し、そのドップラー効果を測定することで、衛星の軌道や観測局の位置を精密に決定します。この技術は、高精度な測地観測に不可欠なものです。

国際DORIS事業は、世界中の科学者や研究機関が協力し、DORISの観測データを通じて、地球の様々な側面をより深く理解するための重要なプラットフォームとなっています。

外部リンク

International DORIS Service 公式サイト

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