土地利用図

土地利用図とは、ある地域における土地の利用状況を地図上に表現したものです。これは主題図の一種であり、特定のテーマに焦点を当てて地理情報を視覚化するものです。

歴史

土地利用図の歴史は、初期の作物分布図の作成にまで遡ります。オリバー・エドウィン・ベーカーによるものがその例です。その後、1930年代にはダドリー・スタンプがイギリス全土の土地利用図を作成し、その成果は広く知られるようになりました。

日本では、昭和初期に内田寛一らによって初めて土地利用図が作成されました。1951年以降は、地理調査所（現在の国土地理院）が中心となり、土地利用図の整備が進められ、国土総合開発計画にも活用されました。1960年以降は、都市部を中心に詳細な土地利用図が作成され、国土利用計画法や都市計画法への応用を視野に入れた、都市的土地利用を明確に表示する表現へと進化しました。

作成方法

土地利用図を作成する際には、まず土地利用調査を行います。この調査では、実際の土地利用状況をベースマップ（都市計画図や住宅地図などを基に作成）に具体的に書き込んでいきます。次に、この情報を基に製図作業を行います。以前はロットリングペンなどを用いて手作業で製図していましたが、現在ではパソコンのドローソフトを使用することが一般的になっています。

人文地理学での利用

人文地理学において、土地利用図は様々な研究に活用されています。土地利用図は、特定の地域の変化を分析するための重要なツールです。

マクロスケールでの分析では、都市圏における土地利用の変化を把握するために利用されます。近年では、地理情報システム（GIS）やリモートセンシング技術を利用することで、広範囲にわたる土地利用状況を短時間で分析することが可能になりました。

ミクロスケールでの分析では、研究対象地域の概要を把握したり、他の研究者や地域住民に説明する際に活用されます。土地利用図は、視覚的に情報を伝えることができるため、地域の特徴や変化を効果的に示すことができます。

まとめ

土地利用図は、土地の利用状況を可視化する重要なツールであり、都市計画、地域開発、環境研究など、多岐にわたる分野で活用されています。その作成方法も、手作業からデジタル技術へと変化しており、より効率的かつ詳細な分析が可能になっています。

参考文献

田林明 著「景観観察と土地利用調査」、上野健一・久田健一郎 編『地球学調査・解析の基礎』古今書院〈地球学シリーズ〉、2011年、173-177頁。ISBN 978-4-7722-5254-6。
丸山浩明 著「土地利用図」、山本, 正三、奥野, 隆史; 石井, 英也 ほか 編『人文地理学辞典』朝倉書店、1997年、345頁。
* 𠮷田国光 著「土地利用調査」、人文地理学会 編『人文地理学事典』丸善出版、2013年、134-135頁。ISBN 978-4-621-08687-2。

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