土屋佳照

土屋佳照（つちや よしてる）

土屋佳照は、1926年2月25日に生まれ、2004年11月2日に亡くなった日本の官僚、政治家です。自治事務次官、鹿児島県知事を務めました。

生い立ちと官僚時代

鹿児島県肝属郡串良町（現在の鹿屋市串良町）出身。旧制の鹿児島県立第二鹿児島中学校（現在の鹿児島県立甲南高等学校）、第七高等学校造士館（現在の鹿児島大学）を経て、1949年3月に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。同年4月に総理庁に入庁し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

1952年には大分県民生労働部社会課長、1956年には経済企画庁調整局財政金融課専門調査員を歴任。1958年からは地方自治庁に転じ、自治省行政局選挙部長、国土庁地方振興局長、自治省税務局長、同省財政局長など、数々の要職を歴任しました。1982年7月には自治事務次官に就任。自治官僚としては珍しく、行政と財政の両面で豊富な経験を積みました。

鹿児島県知事として

1989年、土屋は鹿児島県知事選挙に出馬し、当選を果たしました。金丸三郎、鎌田要人に続く、3代連続での自治事務次官からの「落下傘候補」となりましたが、選挙では大勝し、県知事に就任しました。1996年まで2期にわたり県政を担いました。

知事在任中の1993年には、鹿児島県を襲った8.6水害が発生。土屋は公用車で鹿児島空港から県庁へ移動中、土石流により道路が寸断され、孤立しました。車載電話で災害対策本部に指示を出し、自らも漁業取締船で救助に向かいました。この水害では、鹿児島市中心部を流れる甲突川が氾濫し、五石橋のうち新上橋と武之橋が流失。国の激特事業で河川改修が行われることになりました。その際、残った玉江橋、西田橋、高麗橋の現地保存を求める市民運動が起こり、最終的にこれらの橋は移設保存されることになりました。

また、1994年4月には鹿児島讀賣テレビの開局にも尽力しました。県政の発展に大きく貢献しました。

知事辞任と晩年

1996年1月、土屋は県議会開会日に県庁知事室で病に倒れ、同年6月26日に知事を辞職しました。5月15日からは知事職務代理が置かれ、7月6日までは副知事であった須賀龍郎がその任にあたりました。

土屋の在任中には、総事業費647億円をかけた鹿児島県庁舎が建設されました。これは県内で最も高い建築物であり、完成した庁舎の中では東京都庁舎に次ぐ規模を誇ります。なお、辞任後には官製談合疑惑が持ち上がりました。

土屋はその後、東京に転居し、2004年11月2日に肺炎のため逝去。享年79歳でした。没後、正四位と旭日重光章が贈られました。

まとめ

土屋佳照は、自治官僚として豊富な経験を積み、その後、鹿児島県知事として県政に尽力しました。水害からの復旧やインフラ整備、メディア開局など、多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。彼の功績は、鹿児島県の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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