土御門泰福

土御門 泰福（つちみかど やすとみ）

土御門泰福は、江戸時代前期から中期にかけて活動した公卿であり、陰陽師としても広く知られています。彼は、土御門泰広の子であり、弟の隆俊の養嗣子とされていますが、実父に関しては異なる説も存在します。泰福の官位は従二位で、一般的には土御門神道の創始者として名を馳せました。

経歴

泰福は、先代の土御門泰広と隆俊の死後、泰重の後継者として陰陽師の家督を継承しました。寛文元年（1661年）には泰重が亡くなり、泰福は正式に家の当主となります。土御門家は代々陰陽頭を務めてきましたが、江戸時代初期の葛藤により、泰重がその地位を幸徳井家に譲ったことで、両家の間に権力争いが生じました。

泰福が元服し、官位が正六位下蔵人兼近衛将監に任ぜられた寛文10年（1670年）にも、陰陽頭の座を巡る争いが続いていました。天和2年（1682年）、幸徳井友傳が急死し、当時の幕府は彼の子が幼く職務を果たせないと判断、これにより泰福は陰陽頭に就任し、翌年には全国の陰陽師を支配・免許する権限を獲得しました。このような経緯を経て、彼は春宮少進に昇進しました。

また、貞享元年（1684年）の改暦の際に大統暦の実施を主張するものの、後には渋川春海の貞享暦がより優れていることを認め、改閣を上奏することになります。この功績から、元禄11年（1708年）には従三位に昇進し、正徳4年（1714年）には従二位にまで到達しました。

さらに、泰福は山崎闇斎から垂加神道を学び、これに基づいて陰陽道と神道を融合させた『土御門神道』という独自の理論を打ち立てました。ですが、改暦の中心的存在だった渋川春海が幕府に呼ばれ、天文方に入ったことで、改暦の核が江戸に移ってしまったことは、彼にとって望ましくない結果を引き起こしました。

享保2年（1717年）、泰福は63歳で亡くなり、彼の墓所は京都市左京区の真如堂にあります。

系譜と家族

泰福の家族に関する記録は、やや複雑です。父は土御門泰広または土御門隆俊と考えられ、母は織田信重の娘である可能性があります。妻については不明です。子供には、男子の土御門泰誠、女子の倉橋泰章室、土御門泰連、土御門泰邦、土御門泰豊、繁原有名などがいます。

末裔についての記録では、泰福を経て伝わる安倍晴明の血脈は、後に倉橋家の養子になった倉橋有儀の代で断絶しましたが、泰福の娘を介していくつかの公家・華族に女系を通じて受け継がれています。

登場作品

土御門泰福は、歴史的な人物としてさまざまな作品に取り上げられています。特に、有名な小説『天地明察』などで言及されています。

土御門泰福の業績は、日本の歴史や文化において重要な位置を占めており、その独自の神道理論は後世にまで影響を与えています。

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