倉橋家

倉橋家：安倍晴明の末裔と華族の歴史

倉橋家は、平安時代以来続く名門・安倍氏土御門家庶流の公家であり、明治以降は華族に列せられた家系です。その歴史は慶長17年(1612年)、土御門久脩の次男・泰吉が分家し、安倍氏の祖先である安倍倉梯麻呂にちなみ「倉橋」を名乗ったことに始まります。

公家としての家格は半家とされ、代々陰陽道を家業としていました。江戸時代には、境町御門外に屋敷を構え、石高は50石から150石に増加。真如堂を菩提寺とし、土御門家と同じく「揚羽蝶」を家紋としていました。

明治維新を迎えると、10代当主・泰聡の代に華族制度が誕生。倉橋家も公家として華族に列し、明治17年(1884年)には華族令に基づき、泰顕が子爵に叙せられました。これは大納言に直任された例のない旧堂上家としての特例措置でした。

しかし、大正9年(1920年)に泰昌の後継が未成年の娘・美佐子のみとなったため、爵位は返上されました。その後、泰昌の従兄である泰隆の子孫が婿養子相続を経て、現在も倉橋家を継いでいます。興味深いことに、安倍晴明の男系血脈は、養子となった有儀の代で途絶えているという事実があります。現在の当主である倉橋純信氏は、土御門有脩から数えて女系4回を経た14代目の子孫にあたるとされています。

歴代当主と系譜

倉橋家は、数多くの優れた当主を輩出しました。初代泰吉から、泰房、泰貞、泰章、泰孝、栄久（養子）、有儀（養子）、泰栄、泰行、泰聡といった歴代当主は、それぞれ従三位以上の位階に叙せられ、陰陽道や朝廷の運営に貢献しました。明治以降の子爵家では、泰顕、泰清、泰昌が子爵位を継承しました。また、分家筋からは泰隆、政吉、信忠、そして現在の純信と輝行といった人物が家系を繋いでいます。

家系図を見ると、実子と養子の継承が複雑に絡み合っていることがわかります。養子縁組を通じて、家系は維持され、発展を遂げてきました。これは、公家社会における一般的な慣習であり、倉橋家も例外ではありませんでした。

資料

倉橋家の歴史を研究する上で、いくつかの重要な資料が挙げられます。浅見雅男氏の『華族誕生 名誉と体面の明治』、太田亮氏の『姓氏家系大辞典』、小田部雄次氏の『華族 近代日本貴族の虚像と実像』、橋本政宣編『公家事典』、霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』、近藤敏喬編『宮廷公家系図集覧』などは、倉橋家の系譜や歴史を理解する上で不可欠な文献です。これらの資料は、詳細な家系図や歴史的背景、当時の社会状況などを明らかにし、倉橋家の歴史を多角的に理解する上で貴重な情報源となっています。

まとめ

倉橋家は、安倍晴明を祖とする由緒ある家系であり、公家から華族へと変遷を遂げた歴史を有します。陰陽道という特殊な家業、複雑な系譜、そして華族としての栄光と爵位返上など、数々のドラマチックな出来事を経験した家系と言えるでしょう。歴史資料と系譜を紐解くことで、その魅力と謎に満ちた歴史の一端に触れることができます。

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