圧迫骨折

圧迫骨折

圧迫骨折とは、椎骨（背骨の骨）がつぶれてしまう骨折です。強い衝撃による外傷や、骨粗鬆症などによる骨の弱まりが原因で発生します。

原因

圧迫骨折の原因は大きく分けて2つあります。

1. 外傷: 高所からの転落や交通事故など、強い衝撃が加わることで発生します。健康な人でも、激しい衝撃を受けると圧迫骨折を起こす可能性があります。
2. 骨の弱まり: 骨粗鬆症、骨腫瘍、感染症などによって骨が弱くなっている場合、軽微な動作（くしゃみ、腰のひねり、尻もちなど）でも骨折を起こすことがあります。特に高齢者では骨粗鬆症が主な原因であり、胸椎と腰椎の移行部で発生しやすい傾向があります。

症状

圧迫骨折の主な症状は、骨折部の強い痛みです。痛みは安静時でも持続することがあり、咳やくしゃみなどでも悪化します。また、骨折によって背骨が変形し、姿勢が悪くなったり、身長が低くなることもあります。

診断

圧迫骨折の診断には、X線検査が用いられます。X線写真では、椎体がくさび形に変形しているのが確認できます。必要に応じて、CT検査やMRI検査を行うこともあります。

治療

圧迫骨折の治療には、保存療法と外科療法があります。

保存療法

保存療法は、薬物療法、コルセットによる固定、リハビリテーションなどを組み合わせた治療法です。

薬物療法: 骨粗鬆症の治療薬（例えば、カルシトニン製剤、テリパラチド）や、痛み止め（NSAIDsなど）を使用します。NSAIDsは骨の痛みに対して効果が高いことが知られています。2024年に発表された研究では、テリパラチドとNSAIDsが急性骨粗鬆性圧迫骨折に有効であると報告されています。カルシトニンも効果的ですが、安全性や副作用の観点から使用が制限される場合があります。
コルセット: 骨折部を固定して痛みを軽減します。
リハビリテーション: 筋力強化や姿勢改善のためのリハビリテーションを行います。

外科療法

保存療法で効果が不十分な場合や、強い痛みが持続する場合は、外科療法が検討されます。

経皮的椎体形成術: これは低侵襲の外科治療で、変形した椎骨の中にアクリル樹脂（PMMA）という骨セメントを注入して、椎体の安定性を高めます。痛みの軽減に特に効果的で、手術による負担も比較的少ない治療法です。

予防

圧迫骨折の予防には、骨粗鬆症の予防が重要です。

カルシウムとビタミンDの摂取: 適切な量のカルシウムとビタミンDを摂取することで、骨の健康を保ちます。
定期的な運動: 筋力トレーニングや体重を支える運動を行うことで、骨密度を高めます。
禁煙: 喫煙は骨粗鬆症のリスクを高めます。
アルコールの適量摂取: 過度の飲酒は骨粗鬆症のリスクを高めます。

圧迫骨折は、早期発見と適切な治療が重要です。症状を感じたら、医療機関を受診しましょう。

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