地区連盟主催大会 (社会人野球)

地区連盟主催大会（ちくれんめいしゅさいたいかい）

社会人野球において、地区連盟主催大会とは、日本野球連盟（JABA）が組織する全国9つの地区連盟（北海道、東北、北信越、関東、東海、近畿、中国、四国、九州）がそれぞれ企画・運営する公式戦を指します。

これらの大会には、JABA本部が主催する都市対抗野球大会や社会人野球日本選手権大会の本大会出場チームを決めるための地区予選も含まれますが、一般的には「地区連盟主催大会」という呼称が使われる場合、予選以外の、各地区連盟が独自に主催する大会を指すことが多い傾向にあります。

年間を通じて概ね3月から10月にかけて開催される地区連盟主催大会のうち、特に重要な位置づけを持つのが、2007年から始まった日本選手権改革の一環として、社会人野球日本選手権大会の出場権獲得機会として位置づけられた一部の大会です。都市対抗野球大会が開幕するまでの期間に開催される全11大会がこれにあたり、これらの大会で優勝したチームには、都市対抗優勝チームや全日本クラブ野球選手権優勝チームとともに、日本選手権本大会への出場権が与えられることになりました。

この改革に伴い、2010年からは日本選手権対象大会の形式が統一されました。具体的には、出場チーム数を12または16とし、まず4チームずつに分かれて予選リーグを行い、各リーグの上位チームが準決勝に進出し、準決勝からはトーナメント方式で優勝を争う形式が標準となりました（予選リーグのグループ数に応じて準決勝進出条件は異なります）。

日本選手権対象大会への出場資格は、過去10年以内に都市対抗野球大会または社会人野球日本選手権大会に出場した実績があるチーム、または企業登録チームであるという推薦基準に基づき、各地区連盟が推薦しJABA本部の承認を得る必要があります。また、JABA加盟チームが年間で参加できる大会数には制限があり、自チームが所属する地区連盟主催大会およびJABA北海道大会を除く日本選手権対象大会への出場は、最大で年間2大会までと定められています。

かつて、日本選手権対象大会のうち一部は「公認大会」、それ以外は「準公認大会」と区分されていましたが、大会のステータスに実質的な差がないこと、開催自治体からの後援を得る際に「準公認」という名称が支障となる場合があったことなどから、2002年にこの区分は廃止されました。同時に、これらの大会がJABAの関係機関によって主催されていることを明確にするため、大会名の冒頭に「JABA」という冠称をつけることが導入されました。現在、日本選手権対象大会には、JABA東京スポニチ大会、JABA四国大会、JABA静岡大会、JABA岡山大会、JABA京都大会、JABA日立市長杯選抜野球大会、JABAベーブルース杯争奪大会、JABA九州大会、JABA長野県知事旗争奪野球大会、JABA東北大会、JABA北海道大会などがあります。

日本選手権対象大会（および都市対抗、クラブ選手権）で、同じチームが複数回優勝した場合は、そのチームが所属する地区に与えられる日本選手権最終予選の出場枠が、優勝1回につき1つ増枠される仕組みがあります。また、過去にはプロ野球の二軍や独立リーグのチームが参加した例もありますが、JABA非加盟チームが優勝した場合は、当該大会の優勝チームへの日本選手権出場権は付与されず、その大会の準優勝チームが所属する地区の最終予選枠が1つ増枠されます（ただし、準優勝チーム自体が日本選手権に繰り上げ出場することはありません）。

一方、日本選手権対象大会以外の地区連盟主催大会については、出場チーム数や試合形式について各地区連盟が独自に自由に定めることが認められています。そのため、全ての試合をトーナメントで行う大会や、予選リーグのみ、あるいは変則的なルール（例：7イニング制の予選）で行われる大会など、多様な形式が存在します。これらの大会は、日本選手権の出場権とは直接関係ありませんが、チームにとっては実戦経験を積み、地域内のライバルチームとの実力を測る貴重な機会となっています。代表的な大会としては、JABA富山市長旗争奪富山大会、JABA徳山(スポニチ)大会、JABA新潟大会、JABA一関市長旗争奪クラブ野球大会、JABA広島大会、JABA高山市長旗・飛騨市長杯争奪高山大会、JABA高砂市長杯争奪大会、JABA伊勢・松阪大会、JABAびわこ杯争奪社会人クラブ野球大会などがあります。

さらに、特定の地区に限定された「地区大会」と呼ばれるものも存在します。これらは必ずしもJABAの公認する全国的な位置づけの大会ではありませんが、地区内のチーム（特にクラブチームなど）の交流や実力向上を目的としており、JABA関東選抜リーグやJABA近畿クラブ野球交流大会などが挙げられます。これらの大会も、社会人野球の裾野を広げ、地域における野球活動を活性化させる重要な役割を担っています。

地区連盟主催大会は、社会人野球チームにとって年間スケジュールの中核をなし、日本選手権出場を目指す上で欠かせない重要な舞台であるとともに、地域に根差した大会としてファンとの交流や野球振興にも貢献しています。

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