地球外知的生命体探査

地球外知的生命体探査（SETI）とは

地球外知的生命体探査（Search for Extra Terrestrial Intelligence, SETI）は、地球外に存在する知的生命体、特に宇宙文明を発見することを目的としたプロジェクトの総称です。この探査は、単なるSFの世界ではなく、現実を対象とする自然科学の一分野として、世界中で多くの研究者や機関によって進められています。SETIは、大きく分けて「パッシブSETI」（受動的SETI）と「アクティブSETI」（能動的SETI）の二つのアプローチがあります。パッシブSETIは、地球外から発信される信号を受信することに焦点を当て、アクティブSETIは、地球からメッセージを送信することを目指します。

SETIの概要

SETIの主な手法は、電波望遠鏡を使って宇宙から届く電波を解析し、地球外知的生命が発した可能性のある信号を探すことです。この分野では、惑星協会やSETI協会が重要な役割を担っています。また、電波だけでなく、大輝度レーザー光を検出する試み（OSETI）や、ダイソン球のような高度な技術の痕跡を探す観測も行われています。さらに、地球外文明が核廃棄物を星に投棄しているという仮説に基づいた観測や、地球周辺に探査機が存在する可能性を考慮した捜索も実施されています。

SETIの動機

SETIの背後には、「地球人類の文明は宇宙において例外的な存在なのか、それとも必然的に発生したものなのか」という、古くから存在する哲学的問いに対する答えを求めるという強い動機があります。この問いに答えることは、人類の存在意義や宇宙における位置づけを理解する上で非常に重要な意味を持ちます。

SETIの語源

SETIは元々「CETI」という名称で、「地球外知性との交信」という意味でした。しかし、NASAの学者が「地球外知性の探査」という意味で「SETI」というスペルに変えたことで、現在の名称が定着しました。この変更は、当面の活動が交信ではなく受信に重点が置かれているという理由に基づいています。

SETIの歴史と主な計画

1959年、ジュゼッペ・コッコーニとフィリップ・モリソンが、地球外文明の存在と、その文明と通信する可能性について初めて論文を発表しました。この論文が、SETIの始まりとされています。

1960年、世界初の電波による地球外知的生命体探査であるオズマ計画が、フランク・ドレイクによって実施されました。この計画では、くじら座τ星とエリダヌス座ε星という二つの恒星が観測されました。結果として、文明の痕跡とみなされる信号は発見されませんでしたが、この計画はSETIの歴史における重要な一歩となりました。

1977年には、オハイオ州立大学のビッグイヤーによって、いて座の方向から「Wow! シグナル」と呼ばれる強い電波が受信されました。しかし、その後同様の信号は確認されておらず、その起源は依然として謎のままです。

オズマ計画以降、数多くのSETIプロジェクトが実施されてきました。それらの中には、OZAP、MANIA、セレンディップ計画、SUITCASE SETI、SENTINEL、BETA、META、フェニックス計画などがあります。また、2007年からは、アレン・テレスコープ・アレイ（ATA）による観測が行われています。2010年には、オズマ計画50周年を記念した世界合同SETI、ドロシー計画が実施されました。

日本人によるSETI観測

日本でも、様々なSETI観測が行われています。電波観測では、九州[[東海大学]]や名古屋大学の研究室が中心となり、ポルックスやVLAを用いた観測が行われました。また、国立天文台水沢観測所や西はりま天文台などの施設が観測に参加しています。赤外線観測では、宇宙科学研究所の赤外線望遠鏡や北京天文台の望遠鏡を用いて、ダイソン球の探査が行われました。可視光観測では、西はりま天文台のなゆた望遠鏡を用いて、レーザー光線の検出を試みています。

SETI@home

SETI@homeは、世界中の人々がコンピュータの余剰計算能力を提供することで、SETIのデータ解析を行うプロジェクトです。このプロジェクトでは、アレシボ天文台で収集された電波データが解析され、人工的な信号の検出が試みられています。2009年現在では、約600TFLOPSという驚異的な計算能力を誇っています。しかし、2020年3月31日をもって分散コンピューティングによる作業が休止され、集められたデータの解析に注力すると発表されています。

発見時のガイドライン

地球外知的生命体を発見した場合に備え、国際宇宙飛行学会（IAA）のSETI分科会は、発見後の活動に関するガイドラインを定めています。このガイドラインでは、発見者はまず信号が自然現象や人類の活動によるものではないか検証を行い、信頼できる証拠であると確認された場合にのみ公表することが推奨されています。また、国際的な協力体制を構築し、情報の共有や継続的な観測を行うことの重要性が強調されています。さらに、発見の事実を隠すことなく、科学界やメディアに迅速に公開することが求められています。

まとめ

SETIは、地球外文明の存在を証明するための、科学的で意義深い探求です。地球外知的生命体の発見は、人類の歴史、哲学、そして科学における概念を大きく変える可能性があります。多くの研究者や一般の人々が、この壮大なプロジェクトに参加し、宇宙における人類の存在意義を問い続けています。

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