坂本導聡

坂本導聡：日本の経済を支えた官僚の足跡

坂本導聡（さかもと みちさと）は、1941年7月22日に東京で生まれ、2020年11月2日に生涯を閉じた日本の官僚です。大蔵省（現財務省）に入省後、経済企画庁（現内閣府）で総合計画局長を務めるなど、日本の経済政策に深く関わりました。彼の経歴を辿ることで、戦後日本の経済発展の一側面を垣間見ることができます。

生い立ちとキャリアの始まり

坂本は、東京都品川区で生まれ、都立日比谷高校を経て東京大学法学部第2類（公法コース）を卒業しました。1964年に大蔵省に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。同期には、後に事務次官を務めた田波耕治、JT会長となった涌井洋治、IMF副専務理事に就任した加藤隆俊、経済学者の野口悠紀雄、同じくIMF副専務理事の杉崎重光など、錚々たる顔ぶれが揃っていました。

横浜市への出向と銀行法改正への貢献

1971年から1973年にかけて、坂本は横浜市に出向します。これは大蔵省からの初の試みであり、当時市長であった飛鳥田一雄に高く評価されました。横浜市では、財政課長ではなく係長待遇でしたが、市長査定にも参加し、意見を述べる機会が与えられました。この経験は、その後のキャリアに大きな影響を与えました。1979年には、銀行局総務課企画官として、新銀行法改正に尽力しました。銀行業界からの強い反対の中、米里恕銀行局長や土田正顕調査課長の下で、改正を成功に導きました。

多岐にわたる役職と経済企画庁での活躍

その後、坂本は人事院給与課長、理財局総務課長、横浜税関長、国税庁間税部長、課税部長などを歴任しました。1992年10月には経済企画庁に出向し、物価局長、国民生活局長を経て、1996年6月には総合計画局長に就任しました。経済企画庁では、物価や国民生活、そして日本の将来を左右する総合的な計画策定に携わり、その手腕を発揮しました。

退官後の活動

退官後は、農用地整備公団副理事長、農林中金専務理事、株式会社オーエムシーカード特別顧問、キユーピー株式会社監査役、城西大学常勤顧問などを務め、幅広い分野で活躍しました。特に、農林中金では、農林水産業の発展に貢献しました。

人間味あふれる一面

坂本は、官僚としてだけでなく、人間としても魅力的な人物でした。横浜市出向中には、飛鳥田市長から結婚披露宴で「折を見て、夫婦で親元を訪ねること。親はそれが一番うれしいんです」とのスピーチを受け、理財局国債課長時代には「人間飛鳥田に触れる思いがした」と述懐しています。このエピソードは、彼の人となりを示す上で重要な一面と言えるでしょう。

晩年と叙位

坂本導聡は、2020年11月2日に亡くなりました。その功績を称えられ、叙正四位が贈られました。彼の生涯は、日本の経済発展に貢献した官僚の一つのモデルとして、今後も語り継がれるでしょう。

略歴

1964年4月：大蔵省入省　管財局総務課
1965年8月：経済企画庁国民生活局国民生活課
1967年5月：主税局総務課経済調査係長心得
1969年7月：武雄税務署長
1970年7月：本郷税務署長
1971年7月：横浜市財政局主査
1973年4月：横浜市企画調整局副主幹
1973年7月：理財局資金第一課課長補佐（運用二）
1975年7月：主計局主計官補佐（厚生第四，五係主査)
1976年7月：主計局主計官補佐（厚生第三係主査）
1978年7月：銀行局銀行課課長補佐
1979年7月：大臣官房企画官兼銀行局総務課
1981年7月：人事院事務総局給与局給与第二課長
1983年6月：主計局共済課長
1986年6月：理財局国債課長
1988年6月：理財局総務課長
1989年6月：横浜税関長
1990年6月：国税庁間税部長
1991年6月：国税庁課税部長
1992年：経済企画庁物価局長
1994年1月：経済企画庁国民生活局長
1996年6月：経済企画庁総合計画局長
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