米里恕

米里恕（よねざと ひろし、1928年5月10日 - 2018年8月25日）は、日本の官僚であり、旧大蔵省（現財務省）において銀行局長を務めた人物です。中国の上海で生まれ、旧制都立高等学校を経て、1951年に東京大学法学部を卒業後、大蔵省に入省しました。入省同期には、山口光秀（事務次官）、加藤隆司（国金局長、理財局長）、平尾照夫（IMF理事、東北財務局長）らがいます。

米里は、1972年に証券局資本市場課長に就任した後、大臣官房調査企画課長、名古屋国税局長、大臣官房審議官を歴任し、1979年4月に銀行局長に就任しました。銀行局長時代には、土田正顕銀行局総務課長、坂本導聡（1964年入省）、鏡味徳房（1965年入省）ら銀行局総務課企画官、吉田正輝銀行局担当審議官（1954年入省）らと共に、約50年ぶりとなる新銀行法改正を主導しました。

この改正は、当時の大蔵省主導による金融効率化政策の一環として、自由競争の導入を推し進めるものでした。しかし、新銀行法制定の過程で銀行界（全国銀行協会）との対立が表面化しました。銀行界は、この改正案に反発し、当時の渡辺美智雄大蔵大臣に直接訴えるという事態に発展しました。この混乱の責任を取る形で、米里は1981年夏に銀行局長を更迭される形で退官しました。後任の銀行局長には、宮本保孝が就任しました。

新銀行法改正への貢献が評価され、退官後の1981年、米里は徳田博美や広瀬駿二の在任期間を短縮する形で、日本開発銀行（現：日本政策投資銀行）の理事に就任しました。徳田は商工中金副理事長に転任しました。その後、1984年には商工中金副理事長に就任しています。

さらに、1987年10月から1998年6月までの間、初代の日本証券投資顧問業協会（現：日本投資顧問業協会）会長を務めました。

米里恕は、大蔵省の官僚として、日本の金融制度改革に重要な役割を果たしました。特に、新銀行法改正は、金融自由化の大きな一歩となり、その後の金融業界に大きな影響を与えました。しかし、その過程での銀行界との対立や、結果としての更迭という出来事は、官僚組織における権力闘争の一側面を示すものとして、注目に値します。退官後も、金融業界の要職を歴任し、その経験と知識を活かして業界の発展に貢献しました。

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