坪島文雄

坪島文雄

坪島文雄（つぼしま ふみお、1893年1月30日 - 1959年7月6日）は、日本の陸軍軍人であり、最終階級は陸軍中将です。広島県出身で、旧姓は筑紫と言います。沼田神社の神職の三男として生まれ、後に坪島松太郎の養子となりました。

軍歴

忠海中学校を経て、1915年5月に陸軍士官学校（27期）を卒業。同年12月に歩兵少尉に任官し、歩兵第13連隊に配属されました。その後、1923年11月には陸軍大学校（35期）を卒業しています。

参謀本部付勤務、第20師団参謀、参謀本部員（演習課）、歩兵第17連隊大隊長、陸軍大学校教官などを歴任し、1937年11月に歩兵大佐に進級。1939年2月には歩兵第13連隊長として日中戦争に出征しました。1940年10月に陸軍公主嶺学校教導団長に転じ、同年12月には陸軍少将に進級しています。

1941年9月には侍従武官に就任し、1944年3月には陸軍中将に進みました。

侍従武官としての活動

侍従武官時代には、『服務の参考』『服務上乃参考』と題した日記を記しており、この日記は現在、国立国会図書館憲政資料室に保管され、研究者に公開されています。日記には、昭和天皇が連合国軍の反撃に備えるよう指示したこと、熱帯地域での糧食の保存を懸念したこと、そして戦局が悪化した1944年以降には終戦を見据えていたことなどが克明に記録されています。

1944年3月27日の記録では、参謀次長の戦況報告を受けた昭和天皇が、徹底抗戦が戦後の国力回復を困難にすると憂慮したことに対し、坪島は「御軫念アラセラル、畏キ極ミナリ」と記しています。また、1945年3月7日の記録では、特攻隊の出撃を報じるニュース映画を見た昭和天皇が「御涙ヲヌグワセラレタリ」と記されており、当時の天皇の心情を理解する上で貴重な資料となっています。

終戦とその後

1945年4月には第146師団長に任命され、本土決戦に備えて鹿児島県大口で終戦を迎えます。終戦後は、同年12月から第一復員省俘虜関係調査部長を1946年4月まで務め、その後復員しました。

1948年1月31日には、公職追放の仮指定を受けています。

人物

坪島文雄は、軍人としての経歴だけでなく、侍従武官として昭和天皇の側近で過ごしたこと、そしてその時に記録した日記が歴史資料として重要な価値を持つ人物です。

参考文献

坪島茂彦『草水：坪島文雄の生涯』坪島茂彦、2000年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

もう一度検索