埼玉県名細村米軍機墜落事故

埼玉県名細村米軍機墜落事故

1955年（昭和30年）3月24日に発生した、アメリカ軍のF-94戦闘機が埼玉県入間郡名細村（現在の川越市）に墜落した痛ましい事故について解説します。

事故の概要

事故が発生したのは1955年3月24日の午後2時40分頃。ジョンソン基地（現在の入間基地）を離陸した米軍のF-94戦闘機が、名細村の上空を飛行中に突如として火を噴き、下小坂地区へと墜落しました。

墜落地点には数軒の民家があり、そのうちの一軒の庭先に激突。事故機は大破炎上し、周辺は瞬く間に火の海と化しました。

甚大な被害

墜落と同時に、機体に搭載されていたジェット燃料が周辺に飛散。墜落地点の目の前にあった民家は、瞬く間に炎に包まれました。この火災により、家の中にいた64歳の女性と20歳の男性（孫）の2名が逃げ遅れて焼死。また、周辺にいた5名が火傷を負うという、甚大な被害が発生しました。

消防団が直ちに消火活動を開始しましたが、火の勢いは衰えず、最終的に民家、納屋、長屋など合計4棟85坪が全焼。土蔵2棟が半焼するという結果となりました。

事故後の検証

鎮火後、夜になって墜落現場の検証が開始されました。事故機は地面に約3メートルも突き刺さっており、同日の夜9時40分頃、操縦席と思われる残骸の中から肉片が発見されました。これにより、搭乗していた2名のパイロットも即死したものと断定されました。

事故の背景と影響

この事故は、戦後間もない時期の日本における米軍基地の存在と、それに伴う事故のリスクを改めて浮き彫りにしました。名細村のような地方の村で起きた悲劇は、多くの人々に衝撃を与え、日米地位協定の見直しを求める声の高まりにも繋がりました。

類似の事故

日本国内では、本事故以外にも米軍機による事故が多発しています。

砂川村B29爆撃機墜落事故
日野町B26爆撃機墜落事故
埼玉県金子村B29墜落事故
八王子市F80機墜落事故
立川基地グローブマスター機墜落事故
九州大学電算センターファントム墜落事故
横浜米軍機墜落事件
町田米軍機墜落事故
宮森小学校米軍機墜落事故
T-33A入間川墜落事故

これらの事故は、安全保障と地域住民の安全という、相反する要素のバランスの難しさを示唆しています。

参考文献

(参考文献の情報を追記)

関連項目

日本におけるアメリカ軍機事故の一覧
* F-94戦闘機

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