堀了介

堀 了介

堀 了介（ほり りょうすけ）氏は、1945年4月10日に東京都で生まれた日本の著名なチェリストです。そのキャリアは多岐にわたり、国内外の主要なオーケストラでの演奏活動、教育者としての後進育成、そして室内楽奏者として、日本の音楽界において重要な役割を担っています。

堀氏がチェロという楽器に出会ったのは8歳の時でした。最初に師事したのは、日本の洋楽界における巨匠であり、桐朋学園大学の創設にも深く関わった教育者、齋藤秀雄氏です。幼少期から才能を育まれ、桐朋女子高等学校音楽科へと進学し、専門的な学びを深めました。その後、桐朋学園大学のオーケストラ研究生として在籍していた1967年、日本のクラシック音楽界で最も権威あるコンクールの一つである第36回日本音楽コンクールで第1位に輝き、その才能が広く認められることとなります。

コンクール優勝後、1968年には読売日本交響楽団に入団し、プロのチェリストとしてのキャリアをスタートさせましたが、さらなる研鑽を積むため、わずか1年で退団を決意します。翌1969年にはウィーンに渡り、ウィーン・コンセルヴァトリウム音楽大学に入学。音楽の都ウィーンでヨーロッパの音楽に触れながら学びを深めました。

1970年に同大学を卒業した後は、ジュネーヴへ移り、チェロの歴史における伝説的な巨匠の一人であるピエール・フルニエ氏に2年間師事するという貴重な経験を得ました。フルニエ氏のもとでの学びは、堀氏の音楽性、演奏スタイルに決定的な影響を与えたと考えられています。

海外での充実した研鑽を終えて帰国した堀氏は、NHK交響楽団に入団します。日本のオーケストラ界の最高峰であるN響では、ソロ楽器奏者として最も重要なポジションの一つである首席奏者を務め、オーケストラのサウンドを支える中核として活躍しました。1979年に退団するまでの約10年間、首席奏者としてN響の発展に貢献しました。

N響退団後も、堀氏の演奏活動は衰えることなく、さらに多様な形へと広がっていきました。国際的に高い評価を得ているサイトウ・キネン・オーケストラや、指揮者小澤征爾氏のもとで室内楽の理想を追求する水戸室内管弦楽団のメンバーとして、世界の舞台で活躍しています。また、室内楽奏者としても積極的な活動を展開しており、2005年にはヴァイオリニストの久保陽子氏、ピアニストの弘中孝氏と共にピアノ・トリオを結成し、息の合った演奏を披露しています。

演奏家としての活動に加え、教育者としての貢献も顕著です。東京音楽大学で長年にわたり教鞭を執り、多くの後進チェリストを育てています。同大学では教授として、さらには副学長という要職も務め、大学運営や音楽教育の発展にも力を尽くしています。また、日本チェロ協会の副会長として、日本のチェロ界全体の振興にも寄与しています。

コンクール優勝者として、堀氏はその経験と深い見識を活かし、日本音楽コンクールをはじめとする数多くの音楽コンクールで審査員を務め、若手音楽家の育成・評価に貢献しています。

私生活では、娘の堀沙矢香氏もチェリストとして活動しており、親子二代にわたって音楽の道を歩んでいます。

堀 了介氏は、演奏家、教育者、そして音楽界の要職者として、多角的に日本の音楽文化に貢献し続ける、現代日本を代表するチェリストの一人です。その豊かな経験と高い音楽性は、多くの人々に影響を与え続けています。

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