堀尾忠氏

堀尾忠氏について

堀尾忠氏（ほりお ただうじ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将・大名であり、出雲国松江藩の初代藩主です。父は豊臣家三中老の堀尾吉晴。

生涯

1577年または1578年、堀尾吉晴の次男として生まれます。兄の早世により世子となり、元服の際に徳川秀忠から偏諱を受け忠氏と名乗りました。1599年、父の隠居に伴い遠江浜松12万石を相続しました。

1600年の関ヶ原の戦いでは東軍に与し、岐阜城の戦いで武功を挙げました。戦後、その功績により出雲・隠岐両国24万石に加増転封されました。父・吉晴と協力して藩政に取り組み、月山富田城から新たな城地として松江城の築城を計画しました。

藩政

1600年11月に堀尾家は出雲に入国しました。当初は月山富田城を居城としましたが、地理的な不便さから新城の建設を幕府に申請しました。城地選定では父・吉晴と意見が対立しましたが、最終的には亀田山（末次城跡）に決定しました。また、家臣の知行割や寺社への寄進、藩内の検地も実施しました。検地では、1反を300歩に改めるなど厳格なものでした。

最期

1604年、城地選定のために島根郡や意宇郡を調査中、大庭大宮（神魂神社）で禁足地の池を見ようとしたことがきっかけで体調を崩し、その直後に急逝しました。享年27または28歳。死因は不明ですが、マムシに噛まれたという説もあります。跡は子の忠晴が継ぎましたが、幼少のため吉晴が後見役を務めました。

松江藩主について

松江藩の初代藩主については、吉晴と忠氏のどちらであるか意見が分かれています。関ヶ原の戦い当時、家康はまだ豊臣家の大老であり、知行宛行状を出していなかったためです。また、父子で共同統治していたことも混乱の原因となっています。しかし、榊原康政の家臣が送った書状に堀信濃殿名義で出雲・隠岐両国を与えられたとあることから、忠氏が初代藩主であるとする説が有力です。

逸話

新井白石の『藩翰譜』によると、小山評定に先立ち、忠氏は山内一豊に城を献上する案を話しましたが、評定で一豊に先を越されたという逸話が残っています。

系譜

父：堀尾吉晴（1543-1611）
母：大方殿 - 津田氏
正室：長松院 - 前田玄以の娘
長男：堀尾忠晴（1599-1633）

脚注

注釈

出典

参考文献

書籍
石井悠『松江藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2012年。ISBN 978-4-7684-7130-2。
阿部猛、西村圭子 編『戦国人名事典 コンパクト版』新人物往来社、1990年。ISBN 4-404-01752-9。

史料
『寛政重修諸家譜』巻第六百七十八［堀尾］
『寛政重修諸家譜 第四輯』（国民図書、1923年、606-607頁）
『新訂寛政重修諸家譜 第十一』（続群書類従刊行会、1965年、190-191頁）
『堀尾古記』
『出雲大社文書』

堀尾忠氏が登場する作品

映像作品
真田十勇士 忍術猿飛佐助、忍術霧隠才蔵、忍術腕くらべ（1954年、東映）演：坊屋三郎
関ヶ原（1981年、TBS）演：角野卓造
徳川家康（1983年、NHK）演：依田英助
功名が辻（2006年、NHK）演：大内厚雄

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