堀親長

堀親長（ほり ちかなが）

堀親長は、信濃飯田藩の第7代藩主であり、飯田藩堀家8代当主です。第6代藩主である堀親蔵の長男として生まれました。母は勅使河原直信の妹（慈眼院）で、正室は柳沢吉里の娘です。

延享3年（1746年）、父である親蔵の死去に伴い家督を相続しました。しかし、幼少であったため、藩の経営は柳田為美（柳田国男が養子に入った柳田家の先祖）ら重臣たちによって行われました。親長は、父である親蔵の教えに従い、飯田領民と堀家の関係強化に努め、財政再建と災害対策のために農業振興と築堤に力を注ぎました。

家督相続直後、親長は黒須楠右衛門を普請奉行、中村惣兵衛を作事奉行に任命し、天竜川の治水を命じました。両名は惣兵衛堤防と天竜井という用水路からなる惣兵衛川除を宝暦2年（1752年）に完成させました。この惣兵衛堤防は、昭和36年の三六災害で流失するまで、飯田藩内の水害を軽減する役割を果たしました。また、宝暦6年（1756年）には大坂城加番、宝暦8年（1758年）には駿府城加番を務めました。

郡奉行に転任した黒須楠右衛門は、藩財政を確保するため、藩が千人講を運営することを提案し、宝暦11年（1761年）12月に城下に千人講会所を設置しました。しかし、会を重ねるごとに参加者が減少したため、楠右衛門は辞退者に対して田畑を差し出すように要求するなど、強硬な態度を取りました。これに反発した領民によって、宝暦12年（1762年）2月22日に打毀しが行われ、千人講は廃止され、楠右衛門は罷免されました。この一連の騒動は、千人講騒動として知られています。

安永8年（1779年）に隠居し、家督を親忠に譲りました。この時、右兵衛尉に改名しました。文化5年（1808年）に死去しました。

系譜

父母
父：堀親蔵
母：慈眼院 - 勅使河原直信の妹、側室
正室
柳沢吉里の娘
側室
石川氏
子女
長男：堀親忠
次男：有馬氏恕 - 生母は石川氏
四男：堀親民
五男：堀親寚
九男：土岐頼功
娘：遠藤胤富正室
* 娘：秋月種備正室、のち堀直起正室

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