作事奉行

作事奉行（さくじぶぎょう）

作事奉行とは、江戸時代に江戸幕府や諸藩に置かれた役職の一つで、作事（建物の建築や修理）を司りました。

概要

古くは織田信長が安土時代に諸種の奉行を置いた中に「作事奉行」がありましたが、信長の奉行職はほとんどが臨時職でした。豊臣秀吉の没後、慶長6年（1601年）には小堀正次が伏見城の作事奉行に任命されています。城以外の事例としては、天正14年（1586年）に方広寺大仏殿（京の大仏）の作事奉行として片桐且元が任じられました。江戸期になると宮大工は寺社奉行の管轄に分割されました。

江戸幕府の作事奉行は、大工頭を初めとする棟梁格を士分として遇することで、建設技術者集団を統率し、江戸城の維持・補修にあたりました（宮大工は寺社奉行の管轄）。

江戸幕府の作事奉行

作事奉行は、普請奉行、小普請奉行と合わせて下三奉行（しもさんぶぎょう）と呼ばれました。

寛永9年（1632年）に設置され、老中の支配を受け、諸大夫役で役高は2000石。定員は2名でした。殿中席は芙蓉の間。幕府における造営修繕の管理を掌り、特に木工仕事が専門で、大工・細工・畳・植木などを統括しました。寛文2年（1662年）からは1名が宗門改役を兼任しました。

納戸口と中の口門の間の棟の一番端の目付部屋の隣に本部が置かれ、下役には京都大工頭、大工頭、作事下奉行、畳奉行、細工所頭、勘定役頭取、作事方被官、瓦奉行、植木奉行、作事方庭作などの役がいました。

作事奉行を無事に務めあげた者は、大目付や町奉行、勘定奉行などに昇進することができました。

歴代の作事奉行（一部）

依田政次 - 享保10年（1725年）
織田信義 - 宝暦3年（1753年）
織田信節 - 文政2年（1819年）
大草高好 - 天保4年（1833年）
遠山景元 - 天保8年（1837年）
岩瀬忠震 - 文政5年（1858年）
佐々木顕発 - 文久2年（1862年）
浅野長祚 - 文久3年（1863年）

諸藩の作事奉行

諸藩でも作事奉行職を置く藩が存在しました。ただし、仙台藩においては作事奉行が後年に廃止され、配下の作事方は出入司直轄とされました（仙台藩の役職参照）。

参考文献

川口謙二, 池田孝, 池田政弘 『東京美術選書33 江戸時代奉行職事典』 東京美術 1983年 pp.11-13, pp.79-82.

関連項目

手伝普請
普請
材木石奉行 - 元は作事奉行配下でしたが、享保2年以降、若年寄支配になりました。

外部リンク

* 『作事奉行』 - コトバンク

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