塔のへつり

塔のへつり

塔のへつりは、福島県南会津郡下郷町に位置する、国の天然記念物に指定された景勝地です。会津地方を流れる大川によって形成された渓谷にあり、その名の由来となった「へつり」とは、会津地方の方言で川に迫った険しい断崖を意味します。

概要

塔のへつりは、大川羽鳥県立自然公園の一角を占めており、1943年（昭和18年）に河食地形の特異な例として国の天然記念物に指定されました。一帯の地質は、第三系の凝灰岩、凝灰角礫岩、頁岩などが互い違いに重なっており、これらの軟岩部分が長年の侵食と風化によって削られ、独特の柱状の断崖を形成しています。

全長約200メートルにわたって奇岩が整列しており、屏風岩、烏帽子岩、護摩塔岩、九輪塔岩、櫓塔岩、獅子塔岩、鷲塔岩など、それぞれに特徴的な名前が付けられています。かつてはこれらの岩々を巡るように通路が設けられていましたが、現在は崩落の危険があるため、吊り橋が架けられた舞台岩周辺以外は立ち入りが制限されています。

一帯は豊かな樹木に覆われており、特に新緑や紅葉の時期には、岩肌と木々のコントラストが織りなす美しい景観を楽しむことができます。四季折々の自然美を堪能できる場所として、多くの観光客が訪れます。

アクセス

鉄道: 会津鉄道会津線「塔のへつり駅」下車、徒歩約10分
車: 国道121号線沿い

周辺情報

塔のへつりの周辺には、以下の観光スポットがあります。

細井家資料館
大内宿

その他

塔のへつりは、つげ義春の漫画『もっきり屋の少女』の着想のきっかけになった場所としても知られています。作者が土産物屋で手に入れた会津地方の方言が書かれた手ぬぐいが、作品のヒントになったとされています。

注意事項

通路の一部は立ち入り禁止となっているため、注意が必要です。
足元が悪い場所もあるため、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。

塔のへつりは、自然が作り出した造形美を間近に感じられる、貴重な場所です。会津地方を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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