塚崎古墳群

塚崎古墳群について

塚崎古墳群は、鹿児島県肝属郡肝付町野崎に位置する古墳群で、その大部分が国の史跡に指定されています。この古墳群は、日本最南端の前方後円墳を含むことで知られ、古代の歴史を物語る貴重な場所です。

概要

塚崎古墳群は、肝付町市街地から東へ約4キロメートル離れた舌状台地、野崎塚崎台地上に広がっています。この古墳群は、59基の古墳（前方後円墳5基、円墳54基、現存39基）と29基の地下式横穴墓で構成されています。古墳の番号設定については、過去に混乱がありましたが、近年整理され確定しました。多くの古墳は未調査のため詳細な内容は不明ですが、特に51号墳（花牟礼古墳、旧39号墳または40号墳）は日本最南端の前方後円墳として知られています。また、1号墳には巨大なクスノキが生育しており、「塚崎のクス」として国の天然記念物に指定されています。この地域からは、弥生時代の住居跡も発見されています。

歴史的背景

塚崎古墳群は、4世紀から5世紀頃に築造されたと推定されています。特に前方後円墳は4世紀代の築造と考えられ、5世紀に築造が始まる北方の唐仁古墳群の先代首長墓群と位置づけられています。この時期には、畿内でも大王墓群が奈良盆地から河内平野へ移動しており、肝属平野での古墳築造地の移動も、畿内王権の政治変動と関連があると考えられています。この古墳群は、前方後円墳の南限地であり、大隅地方で最古の古墳群であり、地下式横穴墓や石棺墓など多様な墓制を示す点でも重要です。

遺跡の変遷

1919年（大正8年）に瀬戸口伝九郎によって初めて報告された後、1945年（昭和20年）2月22日に国の史跡に指定されました。当初の指定範囲は前方後円墳5基、円墳47基の計52基でしたが、その後、所在不明の古墳が除外され、指定範囲が調整されました。1962年（昭和37年）には古墳分布図が作成され、1966年（昭和41年）には標柱と案内板が設置されました。1992年から2001年にかけて、鹿児島大学と琉球大学による測量調査が行われ、2004年から2007年には肝付町教育委員会による範囲確認調査が行われました。その後も範囲確認調査や史跡範囲の追加指定が繰り返され、2017年には新発見の古墳を加えて古墳番号と地下式番号が設定され、現在では前方後円墳5基、円墳54基の計59基、地下式横穴墓29基となっています。

文化財としての価値

塚崎古墳群は、1945年（昭和20年）に国の史跡に指定されました。その後、2013年、2020年、2024年に追加指定が行われ、史跡範囲は拡大しています。また、1号墳に生育する「塚崎のクス」は、1940年（昭和15年）に国の天然記念物に指定されており、古墳群とともに保護されています。

関連施設

塚崎古墳群の出土品は、肝付町立歴史民俗資料館で保管・展示されており、古墳群の歴史と文化をより深く理解することができます。

まとめ

塚崎古墳群は、古代の歴史と文化を今に伝える貴重な遺跡です。前方後円墳の南限地という地理的な特徴に加え、大隅地方における最古の古墳群として、その多様な墓制や歴史的背景から、重要な遺跡として位置づけられています。

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参考文献
史跡説明板
地方自治体発行資料
「古墳に眠る肝属の王 -塚崎古墳群の時代-」肝付町教育委員会・鹿児島大学総合研究博物館、2007年
『塚崎古墳群保存活用計画書』肝付町教育委員会、2018年
大塚初重「塚崎古墳群」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年
「塚崎古墳群」『日本歴史地名大系 47 鹿児島県の地名』平凡社、1998年
「横瀬古墳」『国指定史跡ガイド』講談社

関連文献
『塚崎古墳群（肝付町埋蔵文化財発掘調査報告書 84）』肝付町教育委員会、2009年

関連項目
唐仁古墳群

外部リンク
塚崎古墳群 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
* 塚崎古墳群 - 肝付町ホームページ

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