塩狩峠

塩狩峠

塩狩峠（しおかりとうげ）は、北海道上川郡比布町と上川郡和寒町の境界に位置する峠です。標高は263メートルで、名寄盆地と上川盆地を結ぶ交通路として重要な役割を果たしてきました。峠は天塩川水系と石狩川水系の分水界にあたります。

歴史

その名は、北海道の旧国名である天塩国（てしおのくに）の「塩」と、石狩国（いしかりのくに）の「狩」を組み合わせて命名されました。1898年（明治31年）には、現在の国道40号の前身となる仮定県道天塩線が開通し、交通の便が図られました。当初は悪路でしたが、1973年（昭和48年）に改良改修が行われ、1991年（平成3年）には現在のルートが完成し、勾配やカーブが緩やかな峠へと生まれ変わりました。2000年（平成12年）には道央自動車道が開通し、峠付近は大規模な切通しとなっています。

鉄道においては、道路開通の翌年である1899年（明治32年）に宗谷本線の前身である北海道官設鉄道天塩線が開通しました。1909年（明治42年）には、列車分離事故が発生し、鉄道員の長野政雄が殉職するという痛ましい出来事がありました。この事故は、作家・三浦綾子の小説『塩狩峠』の題材となり、広く知られるようになりました。1916年（大正5年）には、峠の頂上付近に塩狩信号所が設置され、後に塩狩駅として乗降が可能になりました。

周辺施設

塩狩駅周辺には、長野政雄の顕彰碑が建立され、三浦綾子の旧宅を復元した塩狩峠記念館があります。また、和寒町には「わっさむ塩狩峠公園」が設置されており、2022年（令和4年）には公園内に三浦綾子の『塩狩峠』の一節を引用した文学碑が建立されました。公園内には鳥瞰図なども設置され、2023年（令和5年）5月に開園セレモニーが開催されました。

自然

塩狩峠周辺には、約1600本のエゾヤマザクラが植えられており、桜の名所として親しまれています。かつては国設塩狩スキー場も存在しましたが、現在は廃止され森林に復元されています。2013年（平成25年）には塩狩ヒュッテユースホステルが開館しました。

アクセス

塩狩峠へは、国道40号または道央自動車道を利用してアクセスできます。鉄道の場合は、宗谷本線塩狩駅が最寄りとなります。

参考情報

浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』（初版）日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3。
おのつよし『日本の鉄道100ものがたり』（初版第1刷）文春文庫、1991年5月10日。ISBN 978-4167536015。

関連項目

日本の峠一覧
北海道の峠一覧
日本の合成地名一覧
打坂地蔵尊 - 本峠での鉄道事故に類似した長崎県の木炭バスによる殉職事故が発生している。

外部リンク

北の道ナビ 峠情報
北海道地区 道路情報
* 北海道開発局 旭川開発建設部

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