外資金庫

外資金庫とは：戦時下の金融の実態

外資金庫は、1945年（昭和20年）に外資金庫法（法律第2号）に基づき設立された特殊法人であり、その目的は中国大陸やその他の日本占領地における軍事費の調達でした。戦況が悪化の一途を辿る中で、日本はなりふり構わぬ資金調達に奔走しました。

設立の背景と目的

外資金庫設立の背景には、戦時下のインフレーションがありました。当時の日本では、軍事費の支払いを予算の金額で行おうとしても、現地のインフレ率がそれを上回り、予算だけでは十分な軍事活動資金を確保できませんでした。そこで、外資金庫が横浜正金銀行・朝鮮銀行・南方開発金庫との間で預け合いを行い、その差額を資金として捻出することで、インフレに対応しようとしたのです。

組織と運営

外資金庫の資本金は全額政府支出であり、総額5千万円でした。理事長には大蔵次官が就任し、理事には大蔵省の主計局長・外資局長、日本銀行、横浜正金銀行、朝鮮銀行、南方開発金庫の代表者が名を連ねました。本店は大蔵省外資局内に置かれましたが、専属の職員や事務所は存在せず、実質的には帳簿上の存在でした。これは、既存の金融機関のネットワークとノウハウを活用し、効率的に資金を調達・運用しようとしたためと考えられます。

資金調達と運用

外資金庫が最終的に調達した金額は5000億円にのぼるとされています。これは当時の国家予算と比較しても巨額であり、外資金庫が日本の戦時財政において重要な役割を果たしていたことを示しています。しかし、その資金調達方法は、預け合いによる差額の捻出という、やや特殊なものでした。これは、当時の日本の金融システムが、戦時体制下で極度に歪められていたことの表れとも言えるでしょう。

終焉

1945年8月の第二次世界大戦終戦により、外資金庫はその存在意義を失いました。同年9月30日、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）は日本政府に対し、「植民地銀行、外国銀行及び特別戦時機関の閉鎖」に関する覚書を交付し、これに基づき外資金庫の即時閉鎖が決定されました。1947年（昭和22年）には、改めて閉鎖機関に指定され、その短い歴史に幕を閉じました。

関連項目

* 金庫 (特殊法人))

外資金庫は、戦時下の日本の金融システムの一断面を示す存在と言えるでしょう。その設立から閉鎖までの経緯は、日本の戦争遂行能力と、その限界を物語るものとして、歴史に刻まれています。

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