多賀山地

多賀山地（たがさんち）

多賀山地は、茨城県の北東部に広がる阿武隈高地の南部に位置する山地です。平均標高は約300mの低山が連なっており、南北に細長く伸びています。北へ行くほど標高が高くなるのが特徴です。

地形・地質

多賀山地の山稜は、波状の平坦な面を形成し、高原のような地形となっています。これは、長年の浸食作用によって形成された準平原です。地質は多様で、花崗岩類、片麻岩類、結晶片岩類、秩父古生層などが含まれます。近年では、日本最古と推定される岩石も発見されました。山地の東西両側には、第三紀層や第四紀層が分布しています。

気候

多賀山地は太平洋側気候に属しており、夏は雨が多く、冬は晴天の日が多いです。そのため、積雪はまれです。

植生

温暖帯に位置する多賀山地では、常緑広葉樹林と暖帯落葉樹林が混在しています。山地の東面や南面には、ヤブツバキ、シロダモ、ヒサカキ、ベニシダ、ヤブコウジなどが、北面には、イヌシデ、クリ、イロハモミジ、ケヤキ、モミなどが生育しています。高鈴山や神峰山付近では、ヤシャブシ、リョウブ、オオバヤシャブシなど、多くの植物が観察できます。

動物

多賀山地は、市街地と山稜が隣接し、人為的な影響も受けているため、本州中部の平均的な動物相が見られます。動物地理分布では、暖帯性動物群と温帯性動物群の漸移地帯にあたり、両方の動物相が混在するのが特徴です。特に、ヘビの種類が多く、シマヘビ、アオダイショウ、マムシ、ヤマカガシなどが生息しています。

主な山

多賀山地には、以下の山々が属しています（標高順）。

栄蔵室（えいぞうむろ）：881.6m
和尚山（おしょうやま）：804m
高鈴山（たかすずやま）：623.3m
神峰山（かみねさん）：598m
風神山（ふうじんやま）：241.9m

自然公園・施設

多賀山地には、自然を楽しめる公園や施設があります。

風神山自然公園
高鈴県立自然公園
奥日立きららの里
日立市かみね公園
日立高鈴ゴルフ倶楽部

山地を通る建造物

多賀山地には、以下の道路が通っています。

常磐自動車道（ほぼ南北に縦断）
茨城県道36号日立山方線（多賀山地中部を横断）
茨城県道37号日立常陸太田線（多賀山地中部を横断）
茨城県道61号日立笠間線（現在は車通行不可能。バイパス完成後は多賀山地南部を横断）

その他

みかの原団地、台原団地、金沢団地、塙山団地、中丸団地、諏訪団地、成沢団地、高鈴団地、田尻団地といった団地も存在します。
日立セメントの大平田鉱山や、日立製作所山手工場、JX日鉱日石金属日立工場といった工場や採石場もあります。
諏訪梅林、諏訪の水穴、大久保の風穴などの名所も点在します。

関連情報

多賀山地は、阿武隈高地の一部であり、日立市に位置しています。2011年の福島県浜通り地震では、この地域も影響を受けました。地元では、多賀山地を「日立アルプス」と呼ぶこともあります。

外部リンク

日立アルプスの紹介（多賀山地を日立アルプスと命名） - ウェイバックマシン
* 環境いばらき・高鈴県立自然公園

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