大ノ海久光

大ノ海 久光 - 大相撲の名伯楽の生涯

大ノ海 久光（おおのうみ ひさみつ、1916年3月20日 - 1981年9月20日）は、秋田県南秋田郡井川町出身の大相撲力士で、本名は中島 久光（旧姓工藤）です。彼の最高位は西前頭3枚目で、11代花籠として知られています。現役時代、身長176cm、体重99kgを誇り、得意な取り口は左四つからの寄りでした。

幼少期と入門

大ノ海は、村の会議員を務めた祖父を持つ地主の家で育ちました。父の三兄弟は、相撲大会で賞を取る強豪であり、家族全体で相撲の関取を羽ばたかせる夢を持っていました。彼は叔父の養子となり、秋田の歩兵第17連隊に入隊後、師団対抗相撲大会での優勝を果たし、その名を広めました。

井筒部屋や出羽海部屋から入門の声がかかる中、現役横綱玉錦の後押しにより二所ノ関部屋に入門し、1937年1月場所で初土俵を踏みます。20歳という遅いスタートでしたが、玉錦からの指導を受け、その後の相撲人生に繋がる重要な基盤が築かれました。

現役時代と戦争の影響

大ノ海は、1943年には新十両昇進、1944年には新入幕を果たしましたが、結婚後に召集されることに。召集後は「太りすぎ」で温情の欠隊処分を受けたとはいえ、戦争の影響で彼の相撲に波が立ちました。

彼の取り口は決め技が少なく非常に慎重でしたが、性格が影響し、稽古を嫌う一面もあり、出世を妨げる要因となりました。

阿佐ヶ谷勢との繋がり

1945年の東京大空襲で二所ノ関部屋が焼失し、阿佐ヶ谷の真盛寺に移ることになりました。ここから彼は弟子育成に力を入れ、1946年に若ノ花を内弟子第一号として迎え入れます。のちに「大ノ海道場」を設立し、正式に部屋を持ちました。

1951年には相撲の普及のため問題提起された訪米団に参加し、アメリカのプロレスラーからスカウトされたものの、帰国を決めました。

その後、若ノ花は大ノ海の指導のもとで成長し、1956年には優勝を果たしました。この頃、阿佐ヶ谷からは多くの力士たちが輩出され、有名な阿佐ヶ谷勢と称される時代が始まります。

遺産と死去

大ノ海は1975年には日本相撲協会で重要な役割を果たすようになりますが、1978年には膵臓がんが判明。1981年に亡くなるまで、多くの弟子や相撲界に影響を与え続けました。彼の死後も弟子たちは彼の教えを受け継ぎ、名伯楽としての功績は色褪せることがありませんでした。

最後まで弟子たちを支え、花籠部屋を築き上げ、横綱を生み出す夢を持ち続けた伝説の力士である大ノ海の生涯は、多くの人に感動を与えています。

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