歩兵第17連隊

歩兵第17連隊

歩兵第17連隊は、1885年から1945年まで存在した大日本帝国陸軍の連隊です。創設当初は仙台鎮台に所属し、その後、第2師団、第8師団へと所属を変え、日清戦争から太平洋戦争に至るまで、日本の主要な戦争に参戦しました。

歴史

仙台での創設

1885年（明治18年）6月、軍備拡張計画の一環として、仙台鎮台の3番目の歩兵連隊として設置されました。兵舎は仙台城に隣接する川内地区、かつての藩の材木蔵があった場所に建設されました。当時、仙台には既に榴ヶ岡に歩兵第4連隊が存在しており、歩兵第17連隊は仙台で2番目の歩兵連隊となりました。

秋田移転

1898年（明治31年）、歩兵第17連隊は、それまで軍隊がなかった秋田へ移転し、新設された第8師団に所属することになりました。仙台の兵営には、新設された歩兵第29連隊が入りました。

この背景には、日清戦争終結後の1895年（明治28年）末に、東北地方北部に新師団を設置する軍備拡大計画が決定されたことがあります。この計画を知った秋田県では、秋田市と六郷町（現在の美郷町の一部）が連隊誘致を目指し、激しい誘致運動を展開しました。秋田県知事の平山靖彦が秋田市を後押ししたこともあり、1896年（明治29年）6月に陸軍は秋田への設置を決定しました。秋田市は、兵営用地を市が買収・献納するなどの積極的な誘致活動を行い、県が無償提供した土地と合わせて連隊用地を確保しました。しかし、この決定に対して、六郷町を含む仙北地方は強く反発し、県議会で知事に対する不信任決議が可決される事態となりました。平山知事は、その1か月後に秋田を離任することとなりました。

沿革

1885年（明治18年）6月 - 第1大隊が編成され、歩兵第4旅団隷下となる。
8月17日 - 軍旗を拝受。
1886年（明治19年） - 第2大隊が編成完結。
1887年（明治20年） - 第3大隊が編成完結。
1888年（明治21年）5月 - 第2師団が創設。
1894年（明治27年） - 日清戦争に従軍。
1898年（明治31年） - 第2師団から第8師団に所属変更。
9月 - 衛戍地を秋田に移転（現在の秋田市久保田町、秋田市中通2、4、6丁目付近）。
1904年（明治37年） - 日露戦争に従軍。当初は予備隊として後方に配置される。
1905年（明治38年）1月 - 戦況悪化に伴い、黒溝台会戦に援軍として派遣されるも、ロシア軍に包囲され連隊の半数を失う甚大な被害を出す。
3月 - 第2軍に所属し、奉天会戦に参加。
1910年（明治43年） - 朝鮮半島に駐留。
1921年（大正10年） - シベリア出兵に6ヶ月間従軍。
1932年（昭和7年）4月 - 満州事変後、大連に上陸し、錦州地区の警備を開始。
1933年（昭和8年）2月 - 熱河作戦に参加。
1934年（昭和9年）3月 - 帰還。
1936年（昭和11年）11月 - 尾去沢鉱山の鉱滓ダムが決壊した際、行方不明者の捜索活動に協力。
1937年（昭和12年）11月 - 満州に駐屯。
1938年（昭和13年）1月 - 第3軍の戦闘序列に編入され、綏陽に駐屯。
1941年（昭和16年）9月 - 第20軍の戦闘序列に編入され、掖河に移駐。対ソ戦の訓練や抗日パルチザン掃討等の治安維持活動に従事。
1944年（昭和19年）7月 - フィリピン戦線に投入される。
9月 - フィリピンのリンガエン湾サンフェルナンドに移駐。
1945年（昭和20年）1月 - 振武集団隷下となる。
4月下旬 - マレプンヨ山とダラガ山にて防御。
5月上旬 - パナハオ山に移動。
8月 - 終戦。
9月23日 - 終戦を確認し、同月29日にパナオ山を下りる。

歴代連隊長

歴代の連隊長については、詳細な情報は参考文献等をご参照ください。

その他

秋田市の大字手形には、「字十七流」という地名が存在します。この地名の由来として、明治時代に歩兵第17連隊を除隊した人々が移り住んだという説があります。

脚注

参考文献

『日本陸軍連隊総覧 歩兵編(別冊歴史読本)』新人物往来社、1990年。
加藤宏「第二師団と仙台」、山本和重編『地域のなかの軍隊』1（北海道・東北）、吉川弘文館、2015年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
原 剛『明治期国土防衛史』錦正社、2002年。
松下孝昭『軍隊を誘致せよ　陸海軍と都市形成』、吉川弘文館、2013年。

関連項目

大日本帝国陸軍連隊一覧
強首陸軍演習場 - 歩兵第17連隊の演習地

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