大フィンランド

大フィンランド思想とは

大フィンランド（フィンランド語: Suur-Suomi）思想は、フィンランドの民族統一主義者やナショナリストによって提唱された、バルト・フィン諸語を話す人々が暮らす地域を統合しようとする思想です。

大フィンランドの範囲

その範囲は、北は白海からオネガ湖にかけて、フィン人とカレリア人が居住する地域を包括する自然国境を境界とすることが基本です。しかし、中にはコラ半島やフィンマルク地方、トルネ谷、イングリア、エストニアを含む、より広範な概念を支持する人々も存在します。

思想の誕生と背景

大フィンランド思想は、19世紀末期にロシア帝国支配下のフィンランド大公国で、ナショナル・ロマンティシズムの影響を受けて生まれました。1835年にエリアス・リョンロートがカレリアの民俗伝承から編纂した叙事詩『カレワラ』が出版されると、知識人の間ではフィンランド文化の揺籃の地としてのロシア・カレリアへの関心が高まり、芸術文化運動としてのカレリアニズムが盛んになりました。

この大フィンランド思想の形成過程は、同じくロマンティック・ナショナリズムの影響が強い大ドイツ主義や汎スラブ主義、イタリア統一運動と類似点が見られます。

民族統一主義運動への発展

カレリアニズムはやがて、より大きなフィンランドの統一を目指す民族統一主義運動へと発展していきます。フィンランド独立宣言後、十月革命とロシア内戦の影響により、フィンランド東部国境に近接するフィン人居住地域の状況は不安定であり、民族主義者の活動に利用されているとみなされていました。例えば、フィンランド義勇軍が国境を越えてロシア領内で作戦を行うなどの活動が行われました。

1918年から1920年にかけてのエストニア独立戦争におけるフィンランド義勇軍の参加とともに、これらの活動はフィンランド史において「ヘイモソダト」（バルト・フィン語族に関する戦争という感覚から、フィンランド語で親族戦争を意味する）と呼ばれています。

大フィンランド思想は、フィンランドの歴史と深く結びつき、その後の政治や社会に大きな影響を与えました。この思想は、フィンランドのアイデンティティや国際関係を理解する上で重要な要素となっています。

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