大久保忠尚

大久保忠尚（おおくぼ ただなお）

大久保忠尚は、江戸時代前期に活躍した武将であり、江戸幕府の旗本を務めた人物です。三河譜代の大久保氏の一族に生まれ、徳川家康に仕えた大久保忠益の長男として、その生涯をスタートさせました。

生涯

忠尚は、兄である忠辰、忠政と同様に、幼少の頃から徳川家康の嫡男である徳川秀忠に仕えました。しかし、慶長19年（1614年）に、再従兄弟にあたる幕府の重鎮、大久保忠隣が失脚した際、彼もその影響を受け、兄たちと共に閉門処分を受けることとなります。この処分は、忠尚の武将としてのキャリアに大きな影を落としました。

しかし、忠尚はここで諦めませんでした。同年、大坂冬の陣が勃発すると、兄弟揃って密かに秀忠勢に加わり、戦場に赴きました。翌年の大坂夏の陣では、道明寺の戦いと天王寺の戦いで、それぞれ敵の首級を挙げるという武功を立てました。この活躍が認められ、忠尚は閉門を許され、旗本として復帰を果たすこととなります。

復帰後、寛永元年（1624年）には、秀忠の次男で駿府藩主となった徳川忠長に仕えることとなり、徒頭や進物番頭といった役職を歴任しました。しかし、忠長の治世は長くは続かず、寛永9年（1632年）には改易となってしまいます。この影響により、忠尚も再び閉門処分となり、身柄は笠間藩預かりとなるという不遇を味わいました。このように、忠尚の人生は、一度ならず二度までも主君の失脚に巻き込まれるという、波乱に満ちたものでした。

晩年、忠尚自身は赦免されることはありませんでしたが、子の源五兵衛が後に赦免を受け、御家人として復帰を果たしました。このことは、忠尚の家系が完全に途絶えることなく、その血筋が後世に受け継がれていくことを示しています。

脚注

大久保忠尚は、大久保氏の一族として、徳川家康、秀忠の時代を生きた武将であり、大坂の陣での活躍が特筆される人物です。
その生涯は、主君の失脚に巻き込まれるなど、不遇な面もありましたが、武士としての忠義を貫き通しました。

出典

* 『寛政重修諸家譜』 9巻、高柳光寿（監修）、続群書類従完成会、1965年。ISBN 978-4-7971-0213-0。

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