大伴金村

大伴金村（おおともの かなむら）

大伴金村は、古墳時代に活躍した豪族であり、大連（おおむらじ）という要職を務めた人物です。大伴室屋の孫、または子とされています。彼の生涯は、当時の政治情勢と深く結びついており、その行動は後の歴史にも大きな影響を与えました。

経歴

仁賢天皇の崩御後、大伴金村は平群真鳥・鮪父子を討伐し、武烈天皇を即位させました。この功績により、彼は大連の地位に就任しました。武烈天皇の崩御後、皇統が途絶えた際には、越前国から彦主人王の子を迎え、継体天皇として即位させるという重要な役割を果たしました。その後も安閑天皇、宣化天皇、欽明天皇と、多くの天皇に仕えました。

『日本書紀』には、継体天皇6年（512年）に、高句麗によって国土の北半分を奪われた百済からの要請で、任那四県の割譲を承認したことが記されています。その代わりに、五経博士を渡来させたとされています。また、継体天皇21年（527年）に発生した磐井の乱では、物部麁鹿火を将軍に任命し、鎮圧に導きました。

しかし、『古事記』には、磐井の乱の鎮圧に物部荒甲（麁鹿火）大連と大伴金村連が関わったと記されており、本居宣長は『古事記伝』で、この記述が脱字である可能性や、この時点では大伴金村が大連ではなかった可能性を指摘しています。近年においても、笹川尚紀は『日本書紀』の編纂において、大伴氏の伝承に基づいた顕彰記事が採用されたと考え、大伴金村が大連に就任したのは、継体天皇即位後であった可能性を示唆しています。

欽明天皇の時代になると、欽明天皇と血縁関係を結んだ蘇我稲目が台頭し、大伴金村の勢力は徐々に衰退していきます。欽明天皇元年（540年）には、新羅が任那地方を併合するという事件が発生し、大伴金村は物部尾輿らから外交政策の失敗を糾弾され、失脚しました。彼は、任那四県の割譲時に百済側から賄賂を受け取ったという疑惑もかけられています。この事件以降、大伴氏は衰退の一途を辿ることになりました。

晩年、大伴金村は、大伴氏の館があった摂津国住吉郡（現在の大阪市住吉区）で過ごし、そこで亡くなりました。住吉区にある帝塚山古墳は、大伴金村、またはその子の墓であるという説がありますが、古墳の築造年代が4世紀末から5世紀初頭とされており、大伴金村の時代とは合致しません。

奈良県葛城市には、大伴金村を祀る金村神社が建立されています。

海外との関わり

大伴金村が住吉に邸宅を構えた背景には、住吉が外交に適した場所であったという理由が考えられます。当時の日本は、朝鮮半島との外交が盛んに行われており、住吉はその重要な拠点であったと推測されます。

系譜

• - 父: 大伴談、または大伴室屋
• - 母: 不詳
• - 生母不明の子女

- 男子: 大伴磐
- 三男: 大伴狭手彦
- 男子: 大伴糠手子
- 男子: 大伴阿彼布古
- 男子: 大伴宇遅古
- 男子: 大伴咋

参考文献

• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

関連項目

• - 任那日本府
• - 巨勢稲持
• - 青海夫人勾子

外部リンク

• - 日本の苗字7000傑 姓氏類別大観　大伴氏／伴氏【1】

大伴金村の生涯は、古墳時代における豪族の興隆と衰退、そして古代日本の外交政策を理解するための重要な手がかりとなります。

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