大内利裕

大内 利裕（おおうち としやす）について

大内利裕は、福島県出身のオウム真理教の元幹部であり、彼の生涯と活動は非常に興味深いものです。彼はホーリーネームを「プンナ・マンターニプッタ」とし、大阪支部長やニューヨーク支部長を務めました。1995年にはオウム真理教のモスクワ支部で活動していた時期もあり、早川紀代秀や林郁夫、中田清秀と共に、麻原彰晃より年長の少数の幹部の一人でもありました。彼は宗教法人の責任役員という重要な役割も担っていました。

生い立ちと信仰の始まり

大内は浜通り地方で生を受け、東京都の鍼灸専門学校を卒業後、鍼灸師としてキャリアをスタートしました。興味を持った精神世界や古神道、生長の家、大本などの思想にふれ、多くの霊能力者と接触しましたが、満足のいく結果には至らず、失望することが多かったと言います。1985年12月、彼は麻原彰晃の書いた『ムー』に掲載されていたヒヒイロカネの記事がきっかけとなり、オウム神仙の会に入信します。 「先生（麻原）に対して大恋愛をしてしまった」と回顧するように、彼はオウムの信仰に没入しました。

その後、オウム神仙の会の最初の男性信者として早川や井上、村井らを出家させました。1986年10月には出家し、出家番号8番を与えられました。

政治活動と逮捕

1990年、日本の衆議院議員選挙には真理党の候補として旧埼玉3区から出馬しましたが、結果は惨敗に終わりました。同年、国土法違反の疑いで逮捕されましたが、不起訴処分となります。この逮捕中に、彼は正悟師に昇格しました。

1993年9月にはロシアに派遣され、モスクワ支部の設立に尽力しましたが、上祐史浩との関係は良好ではなかったとされています。

事件への関与

出家後、1988年に発生した在家信者死亡事件には関与していなかったものの、彼の妹が関連貨物に関わっていたため、事件を知りました。1989年、麻原から「グルのためなら人を殺すことができるか」と問われ、彼は男性信者殺害事件に関与することになります。また、1993年には早苗の過失により男性信者が亡くなる事件の死体隠蔽にも関与しました。

1995年3月の地下鉄サリン事件後、ロシア政府はオウム真理教を信じることを禁止し、大内は逮捕されたことがありました。彼は自宅に帰る代わりに、ロシアの信者への配慮から自らを犠牲にしたいとの思いを強く持っていたと言います。しかし、その間に脱会届を教団に送付しました。

1998年、国外退去処分を受けてロシアを離れることになりますが、その後、男性信者殺害事件で国際的な指名手配を受けました。キプロスに潜伏していたところを逮捕され、強制的に日本に帰国し、その後警視庁に逮捕されました。彼はオウムの犯罪行為に関わることで心が揺れ動きました。

裁判と有罪判決

裁判では、共に責任を問われた上祐史浩らにオウムの解散を求める姿勢を示しましたが、検察からは懲役10年が求刑されました。最終的には、2000年に懲役8年の実刑判決を受けることになり、これが確定しました。

まとめ

大内利裕の生涯は、オウム真理教の内部での重要な地位と、数々の事件に関与していたことが大きな特徴です。彼の信仰の変遷や、オウムとの関わりが彼自身にどのような影響を与えたのか、今後の研究が期待されるところです。

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