大内晴持

大内晴持（おおうち はるもち）

大内晴持は、戦国時代に周防国（現在の山口県）を治めた大名です。多々良姓大内氏の当主・大内義隆の養嗣子として迎えられました。実父は土佐一条氏の一条房冬で、一条房家の四男とする説もあります。母は房冬の側室で、大内義隆の姉にあたります。没後、養父・義隆の朝廷への働きかけにより、将軍家から一字を賜り、義房（よしふさ）と名乗ることを許されました。

生涯

幼名は太郎。元服後、一条恒持（つねもち）と名乗ります。その後、大内家の養子となった際に、室町幕府12代将軍・足利義晴から偏諱を賜り、大内晴持と改名。新介を名乗りました。

母方の叔父にあたる大内義隆には男子がいなかったため、わずか3歳でその養嗣子となります。容姿端麗で文武両道に秀でており、和歌や管弦、蹴鞠といった雅な教養にも精通していました。公家の名門である一条家の血筋もあってか、義隆から格別に寵愛されました。

天文9年（1540年）1月、父・義隆が防府口経由で安芸国へ出陣する際、晴持もこれに同行します。天文10年（1541年）3月には安芸に到着。同年5月5日には、厳島で流鏑馬を観覧しました。

天文10年（1541年）11月、出雲国の尼子経久が死去すると、天文11年（1542年）1月、晴持は義隆とともに月山富田城へ出陣します。天文12年（1543年）3月には、尼子晴久が籠城する月山富田城を包囲しますが、三刀屋久扶や本城常光らの裏切りにより、大内軍は総崩れとなります（第一次月山富田城の戦い）。同年5月7日、晴持は義隆とともに、出雲国意宇郡出雲浦へと落ち延びました。ここで晴持と義隆は、別々のルートで周防国へ撤退することになります。

しかし、尼子軍の追撃は激しく、大内家臣の福島源三郎親弘・右田弥四郎らが防戦し、討ち死にを遂げました。その間に晴持は船に乗り込みましたが、水中から船に乗り込もうとする兵を船上の者が棹で払い落とそうとした際、船がバランスを崩して転覆。晴持は溺死してしまいました。享年20歳という若さでした。

晴持の死後、義隆は幕府に働きかけ、将軍家の通字である「義」の字を賜り、義房として弔いました。そのため、後世の系図には義房とも記されています。また、その死を悼んだ人々によって晴持は神として祀られ、島根県松江市東出雲町揖屋に大内権現（大内神社）として現存しています。

経歴

1538年（天文7年）12月3日、従五位下に叙位。
1539年（天文8年）6月15日または19日、従五位上に昇叙し、周防介あるいは周防権介に任官。
1540年（天文9年）9月5日、左兵衛佐に転任。
1541年（天文10年）7月22日または7月23日、左衛門佐に遷任。
1542年（天文11年）1月5日、正五位下に昇叙。

脚注

注釈

出典

参考文献

近藤清石『大内氏實録』中元壮作、宮川臣吉、山口県山口町、1885年10月28日。 NCID BA33800345。NDLJP:780384。

関連項目

* 細川是久 - 細川氏出身の大内氏家臣で細川隆是の父。前述の晴持の溺死の際にともに亡くなったとされる。

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