大分フォーラス

大分フォーラス：街のランドマークとして歩んだ歴史と再生

大分市の中央通り沿いに位置していた「大分フォーラス」は、1993年10月、ジャスコ大分店からの業態転換によって誕生しました。フォーラスブランド6店舗目としてオープンした同施設は、JR大分駅から徒歩圏内という恵まれた立地と、百貨店トキハに隣接する好アクセスを誇っていました。地下1階地上8階建てのビルには、GUなどのファッションブランドをはじめ、55店舗もの多様なテナントが入居。7階と8階にはジュンク堂書店が展開する大型書店とコミック・児童書専門店が構え、地下1階にはタワーレコードやABCマートなども出店していました。

特に、7階・8階を占めていたジュンク堂書店は、40万冊もの書籍を扱う大型書店として、地域住民に愛される存在でした。幅広いジャンルの書籍を取り揃え、読書好きの集まる場所として賑わいを見せていました。

大分フォーラスは、ダイエーがイオンの連結子会社となる以前から存在し、九州地方で最古のイオングループ店舗の一つとして歴史を刻んできました。長年にわたる営業の中で、大分市の商業発展に大きく貢献したことは間違いありません。

しかし、2017年2月、大分フォーラスは閉店しました。老朽化や耐震補強の必要性、そして近隣に開業したアミュプラザおおいたとの競争激化などが、閉店に至った理由として挙げられます。長年の営業に幕を閉じ、多くの顧客から惜しまれつつ、その歴史に幕を閉じました。

大分フォーラスが歩んだ道のり：ジャスコからフォーラスへ

大分フォーラスの前身は、1973年に開店した「ジャスコ大分店」でした。1960年代後半から1970年代にかけて、大分市は新産業都市の指定を受け、臨海工業地帯への企業進出により人口が急増。それに伴い、長崎屋、ニチイ、ダイエー、西友など、多くの総合スーパーが市街地に進出しました。ジャスコもその流れに乗り、大分ジャスコとして大分店と南大分店を展開しました。

しかし、郊外への出店戦略を進めた結果、市街地の需要が減少。ジャスコ大分店は1993年2月に閉店し、同年10月にフォーラスとしてリニューアルオープンしました。この業態転換は、時代の変化に対応した戦略的な転換だったと言えます。

その後も、大分フォーラスは建物の改装やテナント入れ替えを行い、常に変化する消費者のニーズに対応しようと努力を続けました。2010年には屋上の広告塔を更新、2011年には大分パルコ閉店に伴い、テナントの大幅な入れ替えを実施しました。2015年には大分駅前にアミュプラザおおいたが開業し、一部テナントはそちらに移転しました。2016年には運営会社がOPAに移管され、さらに改装を行い新たなブランドを導入しました。

閉店後の動向と新たなスタート

大分フォーラスの閉店後、多くのテナントは新たな場所へ移転しました。例えば、島村楽器はパークプレイス大分へ、ジュンク堂書店は大分中央BESTビルへ、イタリアントマトはネクストビルへ移転しました。これらのテナントの移転は、大分フォーラスが地域経済に及ぼした影響の大きさを示しています。

2017年の閉店から2年後、大分フォーラスの跡地には、新たな商業施設「大分オーパ」がオープンしました。地上4階建ての建物には、生鮮食品店やレストランなど、「食」をテーマにしたテナントが中心に集まりました。これは、老朽化した建物を解体し、時代のニーズに合わせた施設に生まれ変わったことを示しています。

交通アクセス

大分フォーラスは、JR大分駅府内中央口から徒歩5分というアクセス抜群の立地を誇っていました。また、バスを利用する場合も、大分交通の「トキハ・フォーラス前」停留所や大分バスの「本社前（トキハ前）」停留所から徒歩圏内でした。これらのアクセス手段により、多くの人が容易に大分フォーラスを訪れることができました。

大分フォーラスは、その歴史の中で、地域住民や観光客に愛される商業施設として発展しました。閉店は残念ではありましたが、その跡地には新たな商業施設が誕生し、街の活性化に貢献しています。大分フォーラスの歴史は、時代の流れの中で変化する商業施設の姿を反映しており、今後の商業施設のあり方について考える上で重要な事例と言えるでしょう。

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