大千瀬川

大千瀬川（おおちせがわ）

大千瀬川は愛知県北設楽郡東栄町と静岡県浜松市天竜区を流れる長さ約20.7キロメートルの河川です。この川は天竜川の支流であり、特にその上流部は振草川とも呼ばれています。流域面積は272平方キロメートルと広大で、その自然環境は訪れる人々を魅了しています。

地理的特徴

大千瀬川は、愛知県の北設楽郡東栄町大字振草を源流として始まります。川は東に向かって流れ、設楽町との境に位置する大鈴山の東麓を通ります。流域内では、字下粟代で下粟代川を、字桜平で鴨山川を集め、国道151号沿いに流れています。この道路と国道473号が交わる地点では、御殿川が合流し、大千瀬川の流路をさらに豊かにしています。

本郷市街地では、地域の中心部を横断し、東端近くには美しい蔦の渕が見られます。この滝は約10メートルの落差を持ち、訪れる人に自然の美しさを提供しています。その後、川は振草渓谷と呼ばれるエリアに入ります。この地域は愛知県指定の天然記念物である煮え渕ポットホールや預り渕ポットホールが存在し、独特の地形を形成しています。

川は愛知県と静岡県の県境近くで大入川と合流し、さらに流れを続けます。ここでは豊川用水の導水路も上を通過します。また、三遠南信自動車道やJR飯田線が川を横断するため、交通の要所としても重要です。最後に、南東から北東に進んだ川は、佐久間町中部で天竜川に合流します。静岡県内では流路延長は5.8キロメートルに及びます。

流域変更について

大千瀬川はもともと天竜川水系に属していますが、上流部は豊川用水事業の影響を受け、流域が豊川水系に変更されています。これにより、大千瀬川はその流れを変え、ごく一部の地域で異なる水系の影響を受けています。

自然環境

この川の流域には、1969年に2170ヘクタールの地域が振草渓谷県立自然公園として指定されています。特に振草渓谷は、領家変成帯の花崗岩で形成された川床と、煮え渕ポットホールや預り渕ポットホールなどの特徴的な甌穴が見られ、大変魅力的な自然環境となっています。1988年にはこれらの甌穴群が愛知県指定の天然記念物に認定され、保護されています。

また、本郷市街地の東側には「奥三河のナイアガラ」と称される蔦の渕があります。ここは硬い安山岩からなる滝頭と、それに対比する柔らかい泥岩からなる滝壺の間に差別侵食が生じて形成された滝です。2003年には遊歩道と展望台が整備され、観光客はこの美しい光景を楽しむことができるようになっています。

アユ釣りの人気

大千瀬川ではアユ釣りが盛んな活動の一つで、解禁日は愛知県でも早いことで知られています。2019年には5月18日が解禁日として設定され、東三河地方では最も早い季節の到来を告げました。この川の川底は岩盤質であり、良質な藻類が繁茂し、アユの味も格別です。2017年には「第20回清流めぐり利き鮎会」において、振草川のアユがグランプリを受賞した実績があります。

大千瀬川の独特な自然環境と、豊かな釣り文化は、この地域の魅力をさらに高めています。観光や釣りの楽しみを求める訪問者にとって、ここは絶好の場所と言えるでしょう。

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