大口周魚

大口 周魚（おおぐち しゅうぎょ）

大口周魚は1864年5月12日に名古屋で生まれ、1920年10月13日に亡くなった著名な歌人、書家、古筆研究家です。彼の本名は鯛二で、「鯛」の字を分けて周魚の号を用いました。彼の業績は、明治から大正時代にかけての日本の歌壇と書道界に多大な影響を与えました。

業績

周魚は特に文学的活動や書道の分野で特筆すべき成果を挙げました。明治29年（1896年）には、京都の西本願寺の古書コレクションの中から後奈良天皇下賜の『西本願寺本三十六人家集』を発見し、これを世に紹介しました。この発見は研究の進展に大いに寄与し、彼の業績は学界のみならず書道界にも広く評価されました。

周魚は古筆の研究にも力を注ぎ、同時代の古筆学者である阪正臣や田中親美と情報を共有していました。また、彼の門弟には尾上柴舟がいて、周魚の理念である古筆第一主義を受け継ぎました。

略歴

彼の和歌の技術は初め伊東祐命に学び、1889年には宮内省御歌所に入所しました。そこで所長の高崎正風から指導を受け、1906年には寄人として名を馳せました。また、彼は「千種会」と呼ばれる歌の会を設立し、全国に約5万人の会員を持つまで成長させました。

書道スタイルにおいても優れた才能を発揮し、行成流に学びました。彼の独自の書風は高野切第二種系統に分類されます。さらに、古筆の緻密な研究成果を法書会が発行する『書苑』誌や『月台』において発表し、その影響力を確立しました。

彼が『西本願寺本三十六人家集』を見つけたことにより、西本願寺からの許可を得て東京に持ち帰り模写を行ったこともおおきなエピソードです。

栄典

彼は明治35年12月20日に正八位に叙されるなど、国からもその業績が認められました。

代表作

周魚は多くの歌を残しています。彼の代表作の一つに「遠山雪」があります。

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あまぐもの　よそのたかねも　たかどのの　まどにせまりて　ゆきぞはれたる
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また、「春月」や「田家早梅」といった作品もその名を広めています。特に「道成寺のかたに」は、彼の独特の視点と感受性を示す一篇として評価されています。

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ひだかがわ　かへらぬみづの　あとおひて　うらみのふちに　ちるさくらかな
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彼の作品には珍しく本名の「鯛二」と署名されているものもありますが、自作の多くには「周魚」と名乗っています。

著書

周魚はまた、著作も多数残しており、主なものには『大口鯛二翁家集』や『女子習字教科書』、さらに『金玉集略解』があります。

師弟関係

彼の師は高崎正風、また弟子には尾上柴舟がいます。このように周魚の影響は彼の周囲の人々にも広がり、その後の世代へと繋がっていくこととなります。

関連項目

その活動は日本の書道史においても重要な位置を占めます。彼の研究や代表作は今もなお多くの人に親しまれ、書道における彼の影響は色あせることがありません。

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