大城のぼる

大城のぼる

大城のぼる（おおしろ のぼる、1905年10月25日 - 1998年5月26日）は、昭和・平成期に活躍した日本の漫画家、イラストレーターです。本名は栗本六郎（くりもと ろくろう）といいます。

生涯

東京府東京市芝区（現在の東京都港区）白金で生まれました。様々な職業を経験した後、講談社『少年倶楽部』への投稿をきっかけに漫画家としての道を歩み始めます。1931年（昭和6年）に『学年別童話漫画』（元文社）でデビュー。その後、中村書店から『愉快な探険隊』、『チン太二等兵』、『愉快な鉄工所』など多くの作品を発表しました。

1940年（昭和15年）に発表した『火星探険』（原作：旭太郎〈小熊秀雄のペンネーム〉）は、日本におけるSF漫画の先駆的作品として高く評価されており、手塚治虫、小松左京、松本零士、筒井康隆など、後の世代の漫画家や作家に大きな影響を与えました。

「大城のぼる」という筆名は、漫画家デビュー直前に大阪城天守閣を訪れた際、ふと思い浮かんだものとされています。

戦時中は仕事が減少し、1945年5月の東京大空襲で被災したため、満蒙開拓団に参加。その後、持永只仁の紹介で満洲映画協会に入社しましたが、ソ連軍の侵攻により引き揚げを余儀なくされました。

戦後は、『少女白菊』、『新州天馬侠』（吉川英治原作）、『戦国鉄覆面』、『ロケットパンチスター』などの作品を発表。『少女白菊』では、細密な描写や映画的なカメラアングルを取り入れ、劇画の先駆的な表現が見られました。また、赤本や貸本漫画のカバーイラストも多数手がけています。

1962年頃に漫画家を引退。1998年5月26日、肺炎のため死去しました。

2013年現在、『火星探険』、『汽車旅行』、『愉快な鉄工所』が小学館クリエイティブの復刻版で入手可能となっています。

作品の特徴

大城のぼるの作品は、その時代を反映した冒険活劇やSF作品が中心です。特に『火星探険』は、後のSF漫画に大きな影響を与え、その後の日本のSF文化の発展に貢献しました。また、『少女白菊』では、劇画のような表現を取り入れるなど、常に新しい表現に挑戦する姿勢が見られます。

主な作品

漫画作品

『愉快な探険隊』（1933年）
『チン太二等兵』（1933年）
『しろちび水兵』（1933年）
『人造人間のピン坊』（1938年）
『火星探険』（1940年）
『愉快な鐵工所』（1941年）
『汽車旅行』（1941年）
『少女白菊』（1954年）
『新州天馬侠』（1955年）
『戦国鉄覆面』（1957年）
『ロケットパンチスター』（1959年）

その他

『OH! 漫画』（1982年） - 手塚治虫、松本零士との鼎談

関連人物

大友康匠：弟子
辰巳ヨシヒロ：直接の弟子ではないが、デビュー前に手紙で指導を受けた

参考文献

大城のぼる「私の漫画歴」『少年小説大系 月報』第7巻、三一書房、1-3頁、1988年2月。

外部リンク

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『大城のぼる』 - コトバンク
* 20世紀日本人名事典『大城 のぼる』 - コトバンク

大城のぼるは、日本の漫画史において、SF漫画の先駆者として、また、劇画的な表現を試みた漫画家として、重要な役割を果たしました。彼の作品は、現代の漫画文化にも大きな影響を与え続けています。

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