大宮姫 (大内義興の娘)

大宮姫（おおみやひめ）

大宮姫（生年不詳 - 天正5年5月12日（1577年5月29日））は、戦国時代の女性であり、大内義興の娘として生まれました。彼女は吉見隆頼と吉見正頼という兄弟にそれぞれ正室として嫁ぎ、激動の時代を生きました。

生涯

大宮姫は、周防・長門二国を支配した大内氏の当主、大内義興の娘として生を受けました。大内氏は、応仁の乱以降、守護大名として勢力を拡大し、西日本に大きな影響力を持っていました。

彼女は、大内氏の家臣であった吉見隆頼に嫁ぎました。吉見氏は、石見国（現在の島根県西部）の津和野を拠点とする国人領主であり、大内氏の傘下で勢力を保っていました。しかし、天文9年（1540年）に隆頼が急死するという不幸に見舞われます。

夫の死後、大宮姫は吉見氏の家督を継いだ隆頼の弟、吉見正頼に再嫁しました。これは、当時の戦国大名や国人領主の間ではよく見られた婚姻戦略であり、家名を存続させ、勢力を維持するための手段でした。大宮姫と正頼の間には、後に吉見氏を率いることになる吉見広頼が生まれています。

大宮姫は、天正5年（1577年）5月12日に亡くなり、津和野城下に葬られました。彼女の法名は栄誉信盛と伝えられています。大宮姫の生涯は、戦国時代の女性が、政略結婚を通じて家を守り、子を産み育てるという、当時の社会における役割を象徴していると言えるでしょう。

彼女の嫁いだ吉見氏は、毛利氏との関係においても重要な役割を果たしました。大内氏が滅亡した後、吉見氏は毛利氏に従属し、毛利氏の勢力拡大に貢献しました。吉見広頼は、毛利氏の家臣として、数々の戦で活躍し、吉見氏の地位を確立しました。大宮姫の血筋は、吉見氏を通じて毛利氏にも受け継がれ、その後の歴史に影響を与えたと考えられます。

大宮姫の墓は、現在も津和野に残っており、地元の人々によって大切に供養されています。彼女の生涯は、小説やドラマなどの創作物にも取り上げられ、戦国時代の女性の生き方を示すものとして、広く知られるようになっています。

参考文献

防長新聞社山口支社 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年3月。
復刻版 田村哲夫編修 編「一門大野毛利家」『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修（復刻版）、マツノ書店、1980年11月。

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