吉見正頼

吉見正頼

吉見正頼（よしみ まさより）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、石見国鹿足郡津和野の三本松城を拠点とした国人・吉見氏の当主として知られています。彼は大内氏、そして後に毛利氏の家臣として活躍しました。

出自

石見吉見氏は、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の弟である源範頼を遠祖とする清和源氏の流れを汲む吉見氏の傍流にあたります。

生涯

永正10年（1513年）、吉見頼興の五男として誕生しました。当初は石見津和野の興源寺で僧籍にありましたが、天文9年（1540年）、家督を継いでいた兄・隆頼（頼隆）が急逝したため、還俗して家督を継承。同時に、隆頼の正室であった大宮姫（大内義隆の姉）を娶りました。

正頼は清廉潔白な人物として知られ、大内義隆からの信頼も厚かったとされています。

天文19年（1550年）4月、長年にわたり所領の境界を争っていた益田藤兼が一本松城や下瀬城に攻め入った際、これを撃退しました。

天文20年（1551年）8月、大内義隆の密使として相良武任が正頼のもとを訪れます。同年9月1日、大内義隆が重臣・陶隆房の謀反によって討たれるという大寧寺の変が勃発。陶氏と吉見氏は同じ大内家臣でありながら、応仁の乱以来の仇敵関係にありました。さらに、陶隆房は当時正頼と領地を巡って争っていた益田藤兼の従兄であり、陶隆房自身も益田氏側に味方していたことから、正頼は反陶隆房の急先鋒として挙兵を決意します。また、密かに安芸国の毛利元就と交渉し、決起を促しました。

天文23年（1554年）、大内軍による総攻撃を受け、三本松城に籠城しますが、最終的には子・広頼を人質に出し講和しました（三本松城の戦い）。

弘治3年（1557年）、毛利元就による防長経略の際には毛利軍と同調し、山口に侵攻。長門国阿武郡にある渡川城から大内軍（野上房忠の軍勢）を排除し、山口北部の宮野口へ迫り、山口を陥落させました。同年、大内氏が滅亡すると、毛利元就の家臣となり、石見吉賀郡、長門阿武郡、厚東郡、周防国佐波郡内に所領を得ました。毛利元就もまた、大内義隆と同様に正頼の清廉な性格を高く評価し、信頼を寄せました。

元亀2年（1571年）に毛利元就が死去した後、後を継いだ嫡孫・毛利輝元の補佐を吉川元春から依頼されています。

天正9年（1582年）、備中国高松城への出陣を最後に、家督を子・広頼に譲り、長門阿武郡指月城に隠居。天正16年（1588年）5月22日または閏5月22日に同地で死去しました。享年76。指月城下に葬られましたが、後に長門阿武郡大井村串山麓に改葬されました。

吉見正頼は、激動の戦国時代において、清廉さと武勇を兼ね備えた武将として、その名を歴史に刻んでいます。

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