大山町 (富山県)

旧大山町は、富山県東部に位置し、かつて上新川郡に属していた町です。四方を山々に囲まれた内陸の地域であり、2005年4月1日に周辺市町村とともに富山市に編入合併されました。

地理

町域は山間部が多くを占め、北アルプスの山々が連なります。最高標高地点は、奥黒部にそびえる水晶岳の2,986mです。主要な河川である常願寺川の流域に沿って、様々な地域景観が見られます。

常願寺川が山地から扇状地へ流れ出る扇頂部にあたる上滝地区は、古くから立山への参道における市場町として栄え、現在も町の中心市街地として機能しています。一方、平野部の農村地域である大庄地区などでは、屋敷林を持つ散居村の風景が小規模ながら残されています。また、県都である富山市に近いことから、都市機能の一部を担うベッドタウンとしての発展も進んでいます。

神通川沿いの福沢地区には、特徴的な河岸段丘が多く見られ、その平坦面に学校などの公共施設が立地しています。常願寺川上流部の山間部は「立山山麓」として知られ、温泉やスキー場などを備えたリゾート地として整備されています。

町域に含まれる主な山々には、水晶岳、薬師岳、野口五郎岳、鷲羽岳などがあり、常願寺川、黒部川、小口川などが主要な河川です。また、有峰湖や黒部湖といった湖沼も点在しています。

歴史

町の歴史は、1889年4月1日に町村制が施行され、上新川郡内に上滝町、大庄村、大山村、福沢村が誕生したことに始まります。これらの4町村が合併し、1955年1月1日に新たな大山町が発足しました。町名の由来は、合併に慎重な意見があった大山村に配慮して名付けられたと伝えられています。

町発足直後の1955年4月16日には、一部地区の立山町への編入について住民投票が行われましたが、規定された賛成多数に至らず、境界変更は見送られました。その後、周辺自治体との合併協議が進み、2005年4月1日、富山市、上新川郡大沢野町、婦負郡婦中町、八尾町、山田村、細入村とともに合併し、広大な新・富山市の一部となり、大山町の名称は行政区域としては消滅しました。

行政・教育

町長としては、1955年の町発足から合併までの期間に8名が就任しました。教育分野では、富山国際大学や富山県立中央農業高等学校といった高等教育・専門教育機関のほか、町立の中学校1校、小学校4校、幼稚園4園があり、地域における教育体制を担っていました。

交通

鉄道は、富山地方鉄道の立山線（有峰口駅、本宮駅）と上滝線（大川寺駅、上滝駅、大庄駅）が町内を通っていました。また、明治末期から昭和中期にかけては、貨物や旅客輸送のために複数の私設軌道が敷設され、地域の交通・産業を支えていた時期がありました。

道路網としては、山間部へ向かう有料の有峰林道があり、主要地方道として富山県道35号、43号、67号などが、さらに多くの一般県道が整備され、町内各地や近隣自治体との連絡を確保していました。

娯楽

かつて、上滝地区には上滝劇場という映画館があり、1960年代頃まで地域住民の数少ない娯楽施設として親しまれていました。

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