大岩寺

大岩寺（だいがんじ）について

愛知県豊橋市の大岩町にある大岩寺は、曹洞宗の寺院で、亀見山という山号を持っています。ここには、天平2年（730年）の創建と伝えられる岩屋観音が境外仏堂として存在し、本尊である千手観世音菩薩の坐像が安置されています。

歴史の背景

大岩寺の歴史は、奈良時代の僧侶・行基にさかのぼります。伝説では、彼が岩屋観音を建立したとされています。大岩寺は当初、観音堂の塔頭6坊のひとつでしたが、現在残るのはこの寺だけです。歴史が進むにつれて、寺は渥美郡の高野山真言宗に属し、元和8年（1622年）には通山宗達により曹洞宗として再興されました。

時代が移り変わる中で、大岩集落が移動するのに伴い、寺も東へと移ります。その結果、大岩集落は二川宿の一部となり、宿場町として発展しました。現在の本堂は昭和47年（1972年）に再建されたもので、以前は別の寺から移築されたものでしたが、火災で焼失してしまいました。

また、歴代住職は備前国岡山藩の池田氏とも親しい関係にあり、池田家の大名行列が二川宿に到着する際には、住職が本陣まで出向いて対談を行う習慣がありました。寺子屋も運営され、地域教育にも寄与していました。

岩屋観音の伝説

岩屋観音の起源は、行基が1尺1寸の木製千手観音像を岩穴に祀ったことに始まります。これが岩屋観音の始まりであり、同時に大岩寺の成立とも関連があります。1585年には、岩屋山が火災により被害を受け、寺は衰退しますが、周囲の信者たちの篤い信仰によって再興されました。特に関白豊臣秀吉の時代に池田照政がこの地域に封ぜられ、景気が回復しました。

1717年の宝永地震に関連した伝承では、池田綱政の夢枕に観世音菩薩が現れ、地震や津波の警告があったとされています。彼は岩屋観音に感謝し、関連する寄進を行い、いくつかの文化財が現在も残っています。

観音像の存在

大岩寺近くの国道1号沿いには、2.9メートルの高さを持つ正観音像が立っています。この像は、宝暦4年（1754年）に交通の要所としての役割を果たした橋の建設にまつわる逸話とも関わりがあります。大正12年（1923年）には、ベルツ博士の寄進によって登山用の鉄柱と鎖が設置されましたが、現存する観音像は1950年に再建立されたものとなります。

観音堂と文化財

岩屋観音の観音堂は、1585年の火災で焼失したとはいえ、1738年に再築され、その後も何度か改築が行われました。現在の建物は1825年に造られ、内部には歴史的価値のある絵画も施されています。最近でも46.1ヘクタールが風致地区に指定され、地域の文化遺産として大切にされています。

大岩寺の所在地は、愛知県豊橋市大岩町火打坂20番地で、アクセスはJR東海道本線の二川駅から徒歩、または豊鉄バスを利用して「岩屋観音」バス停下車後、徒歩で行くことができます。

歴史ある大岩寺は、単なる寺院の枠を超え、地域の文化や歴史を語る重要な拠点として親しまれています。

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