大岳院

大岳院について

大岳院（だいがくいん）は、鳥取県倉吉市にある曹洞宗の仏教寺院であり、その本尊は釈迦牟尼佛です。この寺院は有栖川宮の祈願所でもあり、江戸時代初期に亡くなった里見忠義と彼の八人の家臣の墓が第二の重要な見どころとなっています。

歴史の概要

大岳院の歴史を遡ると、戦国時代の天正年間にその敷地に南条氏の家臣であった山名氏豊の館があったという記録があります。倉吉市での発掘調査では、富裕層の屋敷跡が見つかっており、これは当時の守護所の跡である可能性も指摘されています。

創建の背景

寺院は慶長10年（1605年）に中村栄忠によって創建されました。栄忠は米子藩の重臣であり、先代の父・中村一栄のための菩提寺としてこの地を選びました。一栄は豊臣政権の三中老で、駿府城主も務めた人物で、彼の法名「萬祥寺殿大岳周碵大居士」に由来して寺の山号や院号が付けられています。

中村栄忠は父の遺志を継ぎ、拠点を倉吉に移すことで大岳院の創建に至りましたが、中村氏は1609年に改易されたため、その後の寺の運営には波乱がありました。

里見忠義と八賢士

慶長19年（1614年）、里見忠義が大久保忠隣の失脚に連座して流罪となり、倉吉藩に移封されました。忠義は打吹城には入らず、大岳院の前に住むことになりました。この寺院には彼が寄進した特別な「三彩稜花刻花文盤」が現在も存在します。忠義は元和8年（1622年）に亡くなり、遺言により大岳院に葬られることになりました。

忠義の葬儀後、彼の近臣である八人の者が殉死したとされ、その戒名には彼の名に見られる「心」と「賢」の字が含まれています。このことから彼らは「八賢士」と称され、曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』における八犬士のモデルと考えられることもあります。現在、大岳院には忠義と八賢士の墓が存在し、さらに忠義の叔父や家老の墓も所在します。

大江磐代のゆかり

大岳院はまた、第119代光格天皇の母、大江磐代の出身地でもあります。彼女は倉吉で生まれた後、京へ上り、特別な家柄に嫁ぎました。寺院内には彼女の母「りん」の霊廟もあり、倉吉には大江磐代君を祀る大江神社も存在しています。

境内の施設

現在の本堂は1995年に改築され、境内にはさまざまな施設が点在しています。駒姫八幡は山名氏豊とその娘を祭るもので、駒姫の娘が大江磐代君の母とされることも知られています。また、鐘楼門や山門、観音堂など、観光名所が多く揃っています。

文化財と行事

大岳院は文化財として、里見忠義が寄進した「三彩稜花刻花文盤」を保有しており、1956年には鳥取県指定保護文化財に指定されました。毎年9月の第一日曜日には「倉吉里見時代行列」と呼ばれる祭りが行われ、地域の文化としても注目されています。

アクセス情報

大岳院へのアクセスは、山陰本線の倉吉駅からあるバスを利用し、「赤瓦・白壁土蔵（明治町）」で下車後徒歩約3分の距離です。また、周囲には打吹玉川などの重要伝統的建造物群もあり、観光の拠点としても非常に魅力的な場所となっています。

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